こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「憂悶聖女(ゆうもんせいじょ)」のあらすじと考察、感想までお話しています。
憂悶聖女のあらすじ
むかし昔、あるところに信心深い処女がありました。
処女は、お嫁には参りませんと神様にちかいました。
けれども、この処女は不思議なくらいに美しい女で、お父さんは娘の考えを認めず、無理にでも娘をお嫁に出したく思いました。
娘は困ったあげくに、どうぞ私に髭を生やしてくださいと神に頼りました。
その願いは叶いましたが、王様は大変怒って、娘を磔刑(はりつけ)にしました。
これで、処女は聖者になったのです。
あるとき、貧乏な楽人がこの御像の置いてある会堂へ来て、ひざまづきました。
聖女は、自分に何の罪もないのをこの人が認めてくれたのを嬉しく思い、履いていた黄金の半靴を下へ落としました。
これが何かの役に立てば、と思ったからです。
楽人はありがたくお辞儀をして、それをちょうだいして帰りました。
ところが、この会堂の大切な黄金のくつがなくなって、そこいらじゅうを探すと、貧しい胡弓ひきのところで見つかりました。
それでこの胡弓引きはとんでもない泥棒だと決めつけられ、処刑場で首をくくられることになりました。
連れていかれる途中、御像の置いてある会堂の途中を通った時、ぜひここへ立ち寄らせてくださいとお願いしました。
そうすれば、一生のお別れに胡弓をひいて、聖女に胸の苦しみを打ち明けられると思ったからです。
この申し出は許されました。
楽人が胡弓をひき始めると、どうでしょう、御像は、黄金の半靴を、もう片方下へ落としました。
これによって、この楽人が泥棒をしたのではないことが示されました。
こうして、胡弓ひきは解放され、いそいそと立ち去りました。
ところで、この聖女の名前は、憂悶(ゆうもん・うれいかなしみ)というのでした。
憂悶聖女の考察
それでは、ここからこの童話の考察に入ります。
この童話の主人公は一人の美しい処女で、この娘は絶対に結婚したくないと言っていました。
でもお父様は絶対に結婚させてやる、という気持ちで、
それに対して娘は嫌がって、結婚しなくていいように髭を生やしてくれと神様にお願いしました。
ここで気になることがあって、これに対して王様が怒ったって記述があります。
お父様と王さまは別人なのかともとれますが、ここでは同一人物と考えて良さそうです。
ということは、この女はお姫様だということですね。
あと、この童話はハッピーエンドと言っていいかどうかです。
最後に胡弓ひきは、無実の罪が証明されて、命が助かることになりました。
ですが主人公の女は、磔にされてそのままになってしまいました。死んだと考えてよいでしょう。
しかしその後、貧乏な胡弓ひきが来てくれて、自分のことを分かってくれたという気持ちが書かれていたので、
この女の一生は報われたと考えてもいいかもしれません。
そう考えると、ハッピーエンドといってよいでしょう。
憂悶聖女の感想
この中で一番衝撃的だったのは、どうしても結婚したくないからといって、ひげを生やしてくださいと言ったところです。
しかもそれがすぐに聞き入れられて、ひげが生えてきました。
ひげじゃなくても、自分が醜くなれば結婚に行かなくて済むのに、ひげを選んだ理由は、自分の美貌を保ちたかったからだろうなって感じました。
女性ならやっぱり、美しくありたいんでしょうね。
いざとなったらひげを剃ればいいと考えていたんだろうなって。
あと、この女もそうでしたが、自分のことを分かってくれる人って、やっぱり大切にしたくなるんでしょうね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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