童話「星の銀貨」のあらすじと考察~とても言えないモノまで渡しちゃだめだよ

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より、星の銀貨(KHM153)のあらすじと教訓、考察、さらには感想までお話していきますね。

 

「星の銀貨」のあらすじ

むかし昔、あるところに女の子がいました。

お父さんもお母さんも亡くなって、住む場所もなく、寝るベッドもなく、着るものは胴着があるだけ、情けのある人に恵まれたパンを一つ持っているだけでした。

それは、塵一つない貧しさでありました。

が、女の子は信心深い性格で、今までかまってくれる人がいなかったのもあり、神様を頼りにして、野原に出ていきました。

そこでお腹がすいた男の人に出会い、

「なにか食べるものをください、おなかがペコペコなんです」

と言われると、持っていたパンをすべてあげました。

「あなたに、神様の恵みがありますように!」

と言って、行ってしまいました。

すると子供がやってきて、

「頭が寒いよう、なにかかぶるものをください」

と言うと、女の子は自分の帽子をとって、子供にあげました。

少し歩くと、また子供が一人、やってきました。

ところがこの子供は、胴着を着ていなかったので、女の子は、自分の服をあげました。

それからまた少し行くと、別の子供がスカートを欲しいと言ってきたので、それも脱いであげました。

 

やっとのことで、女の子は森の中へ入りました。

その時はすでに暗くなっていましたが、子供がまた出てきて、じゅばん(下着)をくださいと言いました。

女の子は素直なもので、

「日が暮れてもう暗いから、誰にも見られやしない、じゅばんをあげちゃおう」

と考えて、なんとじゅばんを脱いで、あげました。

 

女の子はとうとうはだかになって、何一つ持っていないところへ、いきなり空から、お星さまが降ってきました。

しかも、下に落ちたお星さまをよく見ると、みんな、ピカピカに光った銀貨ばかりでした。

さらに、自分のじゅばんを子供にあげてしまったというのに、女の子は上等なリンネルのじゅばんを着ていました。

女の子はその銀貨を拾い集めて、一生、お金持ちで暮らしました。

 

星の銀貨の教訓

この童話の教訓は、「与えよ、さらば与えられん」ということです。

現実世界では、日本でも一部の人はお金を寄付していますよね。

これはなぜかといえば、単純に困っている人を助けたくて寄付している人もいますし、

廻り回って自分に幸福が返ってくることが分かっていてやっている人もいます。

そうなんです、誰かが喜ぶことをすれば、廻り回って自分に良いことが返ってきます。

この童話では、貧しい人に与えることの大事さを教えてくれているんですね。

ただし、この童話はもっと踏み込んだところまで教えてくれています。

それは、自分が少ししか持っていなくても、相手に与えれば、自分が幸せになれる、ということです。

星の銀貨で出てくる女の子は、読んだ通り、かなり貧しいです。

自分が貧しいのにも関わらず、貧しい人に与えていますよね。

自分を犠牲にしてでも人に与える。

こういう素晴らしいことができる人が、最終的には幸せになれるってことを教えてくれています。

 

星の銀貨の考察

それでは、この童話の考察をしていきますね。

この童話の最初の方に、女の子は助けてくれる人もいなく、神様を頼りにして、信心深い性質ってありました。

神様は様々な神様がいますが、グリム童話ではキリスト教とも関わりが深いです。

キリスト教では、この世界に生まれてくるのは利他愛に目覚めるためだ、という教えがあるようです。

利他愛とは、他人のために自分を犠牲にして、愛を与えるということです。

そのため、利他愛に目覚めている人は、自分の持っている物、お金や時間、労力を犠牲にして、相手のために尽くします。

この女の子は、その神様の教えに沿って、自分の持っている物をみんなあげてしまったんです。

そして自分は裸になってもいいから、相手に与えようって気持ちだったんですね。

こんなに素晴らしい人間は、現実世界ではほとんどいませんが、

こういうことができる人がたくさんいたら、この世界に争い事はなくなりますし、みんな幸せになるはずです。

そして、お話の最後では、流星のあったあと、地面に落ちた星が銀貨に変わっています。

民間伝承では、流星は幸運をもたらすと言われています。

この民間伝承から、この童話の結末は来ていると思われます。

流星は天使がとった天国のろうそくの心で、これは金と銀にあたります。

そのため、流星を見つけた者は金持ちになれると言われています。

 

星の銀貨の感想

この童話を読んで、この物語の主人公は本当に良くできた子ですが、

まぁ、現実世界にはこんな子はなかなかいませんよね。

この子までといかなくても、中には自分の持っている大切なものを挙げられる子もいますが。

この物語は極端で、周りがもう暗いからって自分の下着まであげてしまいました。

下着をねだった子供もすごいですが、

本当に何もないと、他人がはいている下着まで欲しくなってしまうものなんでしょうね。

アフリカとかアジアの貧しい国とか、そういうところではそれが当たり前なのかもしれません。

でも、自分も貧しいのに与えることができる子が、最終的にお金持ちになるという童話の結末は、とても気に入りました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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