こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「青ひげ」のあらすじと考察、感想までお話しています。
青ひげのあらすじ
むかし、森の中に、一人の男が暮らしていました。
男は息子を3人、美しい娘を1人持っていました。
ある時、黄金の馬車がおともをたくさん連れて、家の前に乗りつけました。
そしてどこかの王さまが降り立つと、お前の娘をわしの妻にくれないか、と言いました。
家の主人は、またとない幸運が舞い降りたと思い、すぐにお受けしました。
このおむこさんは、青いひげを生やしている以外は、何一つ欠点がありませんでした。
ですがこのひげだけは、見るたび恐ろしいのです。
娘も、初めはこのひげを怖がって、こんな人のお嫁になるのは嫌だと言いました。
しかしお父さんに説得されて、お嫁に行くことにしました。
けれどもこの青ひげが薄気味悪いものなので、三人のお兄さんのところに行って、
「ねえお兄さん、あたしが大きな声を出すのが聞こえたら、いい?
お兄さんたち、どこにいても、あたしを助けに来てちょうだいね。」
「行っておいで、お前の声が聞こえたら、すぐに助けに行くからね。」
お兄さんたちはこう言って、妹にキスをしました。
これが済むと、娘は青ひげの馬車に乗って、行ってしまいました。
王様の御殿では、何でもそろっていました。
何もかも美しく、お妃の望みも何でも叶いました。
ですがやはり王様の青ひげが怖く、いつまでたっても見るたびにぎょっとするのです。
こんな生活が続いたある時、青ひげが、
「わしは大旅行にいく。ここに屋敷中の鍵があるから、どこでも見てよい。
だがこの小さな黄金の鍵の部屋だけは、見てはいけない。
もし開けたなら、お前の命はないものだぞ。」
お妃は鍵を受け取り、それを約束しました。
そして青ひげが出かけた後でお部屋の戸を順番に開けると、たくさんの素晴らしい宝が目につきました。
全て見て、残ったのは開けてはいけないお部屋一つだけなのですが、このお部屋の鍵に限って、金でできているのです。
お妃は、この中には一番値打ちのあるものがあるに違いない、と思ってましたが、お腹の虫をおさえられません。
とうとうお妃は、鍵を持ってその部屋の前まで行きました。
「開けたって、誰にも見られやしない。ちょっとのぞくだけですもの。」
そう言いながら、鍵を回しました。
すると、戸が開いたとたん、血の川がこちらへひたひたと流れてきました。
それから、部屋の壁には、女の死体がいくたりもぶら下がっています。
その中には、もう骸骨だけになっているのもあります。
お妃は肝をつぶして扉を閉めましたが、勢いがよすぎて鍵が飛び出して、血の中へ落ちてしまいました。
それを拾って血をふき取りましたが、これがダメでした。
血をふきとろうといろんなことを試しましたが、鍵についた血のしみは落ちません。
そうしているうちに日が暮れて、お妃は鍵を乾草の中に突っ込んで、血を吸い取らせることにしました。
次の日、青ひげが帰ってきました。
そしてお妃を見るなり、鍵をみんな返してくれと言いました。
お妃はドキドキしながら、青ひげが金の鍵がないことに気づきませんように、と思っていました。
ですが青ひげはそれに気づいて、
「秘密の部屋の鍵は、どこにあるの?」
「あれは、上の階にございます。うっかりなくしてしまいましたが、明日探します。」
「今すぐにしてほしい。今日いるのだから。」
「あらまあ、本当は乾草の中で失くしましたの。よく探してみないといけませんわ。」
すると青ひげは怒りだして、
「なくしたのではない。血のしみを吸い取らせようと考えて、乾草の中に入れたのだ。
わしの命令に背いてあの部屋に入ったんだな、それなら、嫌だと言っても今度はお前があそこに入るのだ。」
お妃は、鍵を取りにやらされました。その鍵には、血のしみがまだたくさんついていました。
「さあ覚悟しろ、死ぬのだぞ。」
青ひげはこう言って、大きな出刃包丁を持ってきました。
お妃は、
「死ぬ前に、お祈りだけさせていただきたいです。」
「では行っておいで。大急ぎでな。待っている暇はないぞ。」
お妃は階段を駆け上がって、窓から頭を出し、
「お兄さん、お兄さん、助けて、来てちょうだあい。」
できるだけ声をはりあげました。
すると兄さんたちは、
「妹の声が聞こえたような気がするぞ、大急ぎで行かないと!」
そう言って、馬に乗ってかけだしました。
妹のほうは、恐怖で、ひざまずいてしまいました。
青ひげは、
「どうだ、お祈りは終わったかあ?」
その声だけでなく、階段の下で出刃包丁を研ぐ音が聞こえてきます。
外を見ると、遠くのほうから砂煙が押し寄せて来るのが見えました。
お妃はもう一度、
「お兄さん、お兄さん、助けて、来てちょうだあい。」
青ひげは、
「早く来ないと、連れに行くぞ。出刃は研ぎ終わったぞ。」
お妃は、もう一度外を見ました。
兄さんたちが、馬でかけてくるのが見えました。
お妃はもうすぐ殺されてしまいます。
お妃はもう一度、
「お兄さん、お兄さん、助けて、来てちょうだあい。」
その時、末のお兄さんはすぐそこまで来ていて、
「今助けてやる、もう一息だ、すぐ行ってやる。」
そこへ青ひげが、
「もう待っておられん。来なければ、こっちから行くぞ。」
「もうちょっとだけ、お兄さん三人のお祈りが済むまで。」
けれどもそんなことは聞かず、青ひげは階段を上がって来て、お妃を下へひきずりおろしました。
それから髪の毛をわしづかみにして、出刃包丁を心臓へさそうとしたときです。
兄さん三人が、入口の戸を叩き壊して中へ入ってきました。
そうしたかと思うと、お妃を青ひげの手から取りかえして、剣を抜き、青ひげを斬り倒しました。
それから青ひげは血の部屋に運び込まれ、今まで殺した女たちと一緒につるされました。
兄さんたちは妹を家に連れ帰り、青ひげの財産は、妹がもらいました。
青ひげの考察
それではここから、この童話の考察に入ります。
まず、この物語の象徴である、青ひげ。
最初結婚する時、この人は青ひげだということ以外は、欠点が無いように見えました。
ですが実際は、女を殺して血の部屋につるしておくという、とんでもないことをやる人間です。
そしてこの青ひげは、悪魔のような行いをする人間の象徴とも取れるように感じます。
小さな子供からしたら、大人の青ひげは怖く感じるものがありますよね。
また、青ひげが大旅行に出かけた後、お妃が部屋をのぞくシーンがありましたね。
ここでお妃は秘密の部屋を見てしまい、金の鍵に血のしみがつき、約束を破ったことを隠せなくなってしまいます。
そしてこの次の日に青ひげが帰ってくるわけですが、
大旅行に出かけたというのに、すぐに帰ってくるというのは不思議なものですね。
これは、お妃が秘密の部屋を見たことを、青ひげはその時点で分かっていたと考えられます。
そうすると、お妃はどうせ秘密の部屋をのぞくだろう、ということを予測していて、わざと家を空けたように思えます。
青ひげには自分に課したルールがあり、秘密の部屋を見るまではお妃を殺さない、ということ。
そして今までの女も、そのルールのもと、殺害してきたと考えられます。
また、この話の類話に、「人殺し城」というのがあります。
ここでは、お妃に迎えては次々に殺して、血祭りにしています。
この童話が関係しているとすると、秘密の部屋の女はみんな、青ひげのお妃になった人だと考えて良さそうですね。
青ひげの感想
まず、青ひげってその名前からして、汚い印象を持ってしまいました。
しかも表向きは普通の顔をして、裏の顔はとんでもない人間だったので、そのギャップが怖いですよね。
お妃が大声を上げてお兄さんたちを呼びましたが、お兄さんたちはすぐかけつけてきました。
お兄さんたちが遠くから馬に乗って到着するまで、どれくらいの時間だったんだろうって気になるところでした。
いくらお妃が時間稼ぎをしたといっても、何十分も稼げたわけではないように思えます。
ですがお兄さんたちは間に合いました。
普通に考えると間に合わなさそうですが、童話では細かいところを気にしちゃいけないですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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