こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「七羽のからす」のあらすじと考察、感想までお話しています。
七羽のからすのあらすじ
ある男の人が、男の子ばかり七人持っていました。
娘がほしくってたまらないのですが、女の子はいつまで経ってもできません。
ところが、やっとのことで女の子が一人生まれました。
喜びは大変なものでしたが、赤ん坊はひ弱で、間に合わせの洗礼を受けさせなければなりません。
そこで男の子を一人、洗礼の水を取りに行かせました。
ですがあとの六人もかけだしていって、我先に水をくもうともめたものですから、手から壺がすべって井戸の中に落ちてしまいました。
それからいつまで経っても戻ってこないので、お父さんは、きっと遊んでいるな、と思い、腹が立って、
「ぼうずども、みんなからすになっちまえ」
と言いました。
そのとたん、頭の上で羽音が聞こえました。
見てみると、石炭のように真っ黒なからすが七羽、飛び去って行くのが見えました。
お父さんもお母さんも、今更この呪いを取り消せません。
二人は七人の男の子を失くした悲しみは消えませんが、かわいい娘があるので、少しはなぐさめられました。
娘は大きく、美しくなり、長い間兄さんたちがいたことを知りませんでしたが、よその人のうわさが耳に入ります。
「あの子は美しいが、あの子のおかげで七人の兄さんがとんでもない目にあっているんだからなあ」
これを聞くと娘はすっかり陰気になって、両親にお兄さんたちはどうなっているか聞きました。
両親はわけを話し、こうなったのはお前のせいではないよと言いました。
けれども娘は、開けても暮れてもそれに悩んで、どうしても兄さんたちを救い出さなくては、と考えました。
そして娘はじっとしていられなくなって、旅に出ました。
持っていったものは、両親の小さい指輪、パンを一つ、水を小さな壺に一杯、くたびれた時用に小さなイス一つです。
娘はどこまでも歩いて、世界の果てまで歩いていきました。
世界のはずれでお日様に出会いました。
お日様は恐ろしく熱いだけでなく、小さな子供をむしゃむしゃ食べていてとても怖いです。
今度はお月様のところに行きました。
お月様は恐ろしく冷たく、恐ろしく、意地悪で、娘に気が付くと、
「臭いぞ、人間臭いぞ。」
これを聞くと逃げ出して、お星さまのところに行きました。
お星様は親切にしてくださいました。
めいめい自分のかわいらしい椅子に腰かけてましたが、暁（あけ）の明星が立ち上がると、ひよっこの肢を一本渡して、
「この肢を持っていないと、ガラス山が開けられない。その中には、お前の兄さんたちがいるのだからね。」
と言いました。
娘はそれを受け取って小布に包んで歩いていくと、やっとのことでガラス山にたどり着きました。
門には錠がおりていました。
そこで包みを開けて肢を取り出そうとしましたが、中は空っぽでした。
親切なお星さまがくれたものをなくしてしまったのです。これではガラス山を開けられません。
そこで娘は小刀で自分の小指を切り落とすと、それを鍵穴に差し込んで、扉を開けました。
中に入ると一寸法師が出てきて、
「じょうちゃん、何を探しているの？」
「あたしの兄さんたち、七羽のからすを探しているのよ。」
「からすさんたちは、お留守ですよ。皆さんがお戻りになるまでこっちで待ってなさい。」
こう言って、一寸法師はからすの食べ物を七つの小皿に盛り、七つのかわいい盃に入れて持ってきました。
女の子は七つのお皿からちょっとずつ食べ、おしまいの盃に、持ってきた小さい指輪を落としました。
それから、からすたちが帰ってきました。
からすたちは自分たちのお皿や盃を見ると、
「誰が、僕の小皿のものを食べたのだい。」
「誰が、僕の盃で飲んだのだい。」
「こいつは、人間の口だぞ。」
からすたちは後から後から、がやがや言い出しました。
そのうち、七番目のからすが盃を飲み干すと、小さな指輪が出てきました。
それは見覚えのあるお父さんとお母さんの指輪だったので、
「僕たちの妹が来てるといいなあ、そうしたらみんな救い出されるんだけどなあ。」
それを妹が扉の後ろで聞いていたので、その場へ出てきました。
途端に、からすたちは全員、人間の姿に戻りました。
それから抱き合って、キスして、生まれ故郷へ帰って行きました。
七羽のからすの考察
それでは、ここからこの童話の考察に入ります。
まず、こんな大変な話になってしまった事の発端は、父親が
「みんなからすになっちまえ」
なんて言ったことです。
そしてその瞬間、取り返しのつかないことになってしまいますが、この現象の裏には、
「口は災いの元」という教訓もありそうです。
もちろん父親は冗談で言ったのですが、男の子たちが本当にからすになってしまったのは、
軽率な父親をこらしめる、神様の意図があったと考えられます。
旅の途中、娘はお日様、お月様、お星さまに出会いましたね。
普通の展開だと、こういったものたちは主人公に味方してくれそうなのですが、ここではお日様とお月様は怖い存在でした。
なぜかというと、この物語では、お兄様たちを探すカギとなるアイテムは、ガラス山の鍵だけです。
必要なアイテムは一つなのに対し、三人の助力者がいると、バランスが取れなかったのだと思われます。
残り二人はどう助けようか、という話になってしまうので、助力者はお星さまだけだったと考えられます。
そして最後、お兄さんたちが元の姿に戻るのに必要なことは、妹がここに来るということでしたね。
他の童話では、「六羽の白鳥」のように、お兄さんたちを助けるのに沈黙を言い渡されたりしますが、ここではそんな必要はありませんでした。
この童話では、妹は悪くないのに自分に罪を感じていました。
そのことが許しになって、妹が来るだけで呪いが解ける、という比較的簡単な方法で良くなったと考えられます。
七羽のからすの感想
この童話では、途中さらっと怖いシーンがありました。
それは、お星さまからもらったカギを失くしてしまい、代わりに自分の小指を切り落とすシーンです。
しかもその切り落とした指を代わりに差し込むなんて、読んでいてゾッとする場面でした。
そして、父親が軽率なことを言ったために子供がからすになってしまいましたが、
しつけのために思ってもいないことを子供に言う親と同じものを感じました。
買って買ってとおねだりをする子供に、「置いてくよ」と言って歩いて行ってしまう親と同じかもしれないですね。
現実世界でも、しつけのためにと子供を山の中に置いて車で行って、戻ってきたら行方不明になった事件もありましたね。
こういう意味では、親もやりすぎるとろくなことにならないってことですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした！
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