こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「狐とガチョウ」(KHM86)のあらすじと考察、感想までお話しています。
狐とガチョウのあらすじ
狐があるとき、みごとに太ったガチョウのたくさんいる草原にやってきました。
狐はゲラゲラ笑いながら、
「こいつは良い時に来た。みんな集まってるな。これじゃあ、片っ端から食えるぞ。」
ガチョウたちは肝をつぶして、ぎゃあぎゃあ鳴き、ばさばさ飛び跳ねます。
それから悲しんで命乞いを始めましたが、狐はそんなことは聞き入れず、
「情けなんかかけないよ、どうやったって、お前らを食っちまうんだ。」
と言うばかりです。そのうち、ガチョウの1羽が、
「あたくしどもがちょうが、この若さで食べられてしまうのは、かわいそうだけど致し方ありません。
たった一つでいいです、お情けをくださいまして、あたくしどもにもう一度お祈禱り(おいのり)をさせてください。
あたくしたち、罪を犯したまま死ぬのは嫌でございます。
それが済みましたら、あなた様が一番太ったのを選べますように、一列に並びます。」
「よし、それならお祈禱りをしろ。その間くらいは待ってやる。」
そこで一羽が、恐ろしく長いお祈りを始めました。
いつまでも「があ、があ」と言うばかりで、終わりそうもありません。
そこで二番目のガチョウは順番が待ち切れず「があ、があ」とやりだして、三番目、四番目も続きます。
そしてそのまま全員が「があ、があ」と鳴きだしました。
それで、みんなのお祈りが済めばこのお話の続きがあるのですが、なにしろ、がちょうどもはいまだに「があ、があ」お祈りをしているのです。
狐とガチョウの考察
それでは、ここからこの童話の考察に入ります。
まず、狐がガチョウを見つけて、食べようとして、その後お祈りをさせて欲しいと言い出すまでは自然な流れです。
ここまでは特に考えさせられるところはありません。
この童話で気になるのは、最後の部分です。
一羽が「があ、があ」と鳴きだし、続いて他のガチョウたちも「があ、があ」と鳴きだします。
たくさんのガチョウたちがうるさく、規則性もなく大合唱しているその様子は、非常にカオスな状態です。
こういう状態になってしまえば、狐も待つのがめんどくさくなったり、うるさくてたまらなくなって、どこかへ行ってしまうだろうと思ったに違いありません。
そして「狐が待たされる」という状態は、
「この後もお話の続きがあるのですが、なにせガチョウどもはがあがあ鳴き続けているのです」
というふうにこの童話をわざとここで打ち切って、続きがないというところを利用して表現しているように考えられます。
また、グリム童話のパターンから考えると、この童話の続きがあったとして、
結局狐はガチョウにありつけず、とぼとぼ住みかに帰っていくのが目に浮かびます。
この童話はかなり短いですが、最後の部分は考えさせられました。
狐とガチョウの感想
この童話の面白いところは、狐がなかなかご馳走にありつけないところです。
狐はガチョウの「お祈りさせてほしい」という願いに対して、もうガチョウというご馳走が手に入って気が大きくなったのか、
それを許してしまいます。
ですがガチョウのお祈りを許してしまったがために、いつまでもご馳走にありつけなくなってしまいました。
せっかく手に入りそうだったものをみすみす逃すことになる話は、見てる分には面白いですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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