こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「つぐみのひげの王さま」のあらすじと考察、感想までお話しています。
つぐみのひげの王さまのあらすじ
どこかの王様が、お姫様を持っていました。
お姫様は美人なのですが、非常に気位が高く、いばっていて、お嫁さんに欲しいと言った人全ての人を相手にしません。
おまけに、お姫様はその人たちをからかうのです。
あるとき、王様は宴会をもよおして、お姫様をお嫁に欲しいという人を招きました。
その人たちは王様から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵というように身分の高い順に並びました。
ですがお姫様はなにかしら欠点を探すのです。
初めのは太りすぎです。
「酒だる」とお姫様は言いました。
二人目は、背が高すぎです。
「せいたかのっぽ、ふうらふら」
三人目は、背が低すぎです。
「ずんぐり短いの、ぶきっちょう」
四人目は、血の気がないです。
「死神の青んぞう」
五人目は、赤すぎです。
「小作料代わりのにわとり」
六人目は、体が曲がっているので
「ストーブのうしろでかわかした生木」
こうやって欠点を探していったのですが、一番上席にいた気立てのいい王様は、あごがちょいと曲がっていました。
「まあ、あのかたのあごはまるで、つぐみのくちばしよ。」
お姫様は大声でこんなことを言いました。
それからこの王様は、
「つぐみのひげの王さま」
という名前になりました。
お姫様のお父様はこれに腹を立てて、一番先に戸口に来た乞食をお前のおむこさんにしてやるぞ、と言いました。
それから2、3日経って、一人の町楽師が、窓の下で歌を歌い出しました。
王様は、その人を王様のところに来させましたが、その人の服はぼろぼろです。
「お前の歌はたいそうわしの気に入ったことによって、わしの娘を、お前の妻にするぞ。」
お姫様はぎょっとしましたが、王様はそう言いました。
お姫様が何を言ってもダメで、牧師さんが連れてこられ、二人は結婚しました。
王様は、
「お前は、もう乞食の女房なのだから、わしの屋敷にいるのはおかしな話だ。
亭主と一緒に、どこへでも行くがよい。」
乞食はお姫様の手を取って、出ていきました。
お姫様は乞食と二人で、とぼとぼ歩いていきました。
二人が大きな森へ入ったときに、お姫様が
「まあ、この見事な森は、誰のもの?」
「これはつぐみのひげの王さまのものさ、あの人を選んでいたら、これはお前のものなのに。」
「まあ、かわいそうなお姫様、つまらないの!つぐみのひげの王さまにしておけばよかったわ。」
やがて二人は、草原に来ました。
「この見事な草原は誰のもの?」
「これはつぐみのひげの王さまのもの。あの人を選んでいたら、これはお前のものなのに。」
「かわいそうなお姫様、つまらないの!つぐみのひげの王さまにしておけばよかったわ。」
その次には、大きな都に来ました。
「この立派な、大きな都は誰のもの?」
「これはつぐみのひげの王さまのもの。あの人を選んでいたら、これはお前のものなのに。」
「かわいそうなお姫様、つまらないの!つぐみのひげの王さまにしておけばよかったわ。」
「気に食わないったらありゃしない。
お前ときたら、他の男を亭主にしたがる。おれじゃ我慢できないのか。」
やがて、二人はちっぽけな家にたどり着きました。
「まあ、ちっぽけな家だこと。こんなみすぼらしい家は誰のかしら?」
「これが、おれとお前の家だよ、一緒に住むところさ。」
中に入るなり、
「召使いたちはどこにおりますの?」
「召使いだって?お前、なんでも自分でするのさ。
さ、火をおこして、お湯をわかして、おれの食べ物を煮てくれよ。おれあへとへとだ。」
お姫様はどうやっていいか分からなかったので、乞食がやりました。
二人はそまつな食べ物を食べると寝床へ入りましたが、
お姫様は家の用事をする役でしたので、朝になると、早い時間に乞食はお姫様を寝床から追い出しました。
それから5、6日経って、乞食が
「稼がずにこうやっているわけにはいかない。お前は、かごを編みなさい。」
ご亭主は外で柳の枝を切って持ってきて、お姫様はそれを編みましたが、硬い枝がお姫様の手をつっついて、ケガをしました。
「これはダメだな。それじゃあ糸をつむいでごらん。」
お姫様は糸をつむぎましたが、硬い糸が指へ食い込んで、血が出ました。
「どうしたものだ。お前ときたら、何一つ仕事ができない。
お前なんかを嫁にもらって、ひどい目に遭った。
今度は、お前が市場へ座って、壺や皿小鉢を売るんだよ。」
お姫様は心の中で、市場でお父様の国の人に会ったら、バカにされると考えましたが、
二人が餓死しないためには、そうするしかありませんでした。
店開きはうまくいきました。
お姫様が美しいものですからお客さんは喜んで品を買い、代金を払うだけでなく、買った壺まで店に置いていくほどでした。
二人はもうけたお金で暮らし、ご亭主は、新しい皿小鉢をたくさん仕入れました。
お姫様は市場の曲がり角に座って売りだしました。
するとそこへ、いきなり酔っ払いの騎兵が駆けてきて、壺が並んでいるところに馬を乗りいれてきました。
品物は粉々になってしまい、お姫様は泣いてしまいました。
うちへ帰ってわけを話すと、
「せとものを持って、市場の曲がり角に陣取るやつがあるかよ。
まあいいから。わしは王様の御殿に行って、御善処のお女中はお入りようか聞いてきたんだ。
そしたら、お前を使ってくれることになったんだ。
そしたら、お前はただでご飯が食べられるんだ。」
お姫様はいよいよ御膳処のはしためになり、辛い立働きをすることになりました。
お姫様は、小さな壺を2つ、ひもで身体にくくりつけて持っていて、
その中へいただいたごちそうのあまりを入れて持ち帰っては、二人で食べていました。
そのうち、そこの王様の第一王子のご婚礼がありました。
お姫様も様子を見物しましたが、ぞろぞろ入ってくるお客様は美しい方ばかりです。
これを見てお姫様はすっかり陰気になって、こんないやしい身分になるきっかけになった、自分の気位の高さと慢心を呪いました。
高価な素晴らしい料理が持ち込まれたり、運び出されたりして、いい匂いがします。
その料理をちょっとずつ、お給仕の者たちがくれるのを、自分の壺の中に入れて、うちへ持ち帰るつもりでいました。
そこへ、王子が入ってきました。王子はびろうどと絹の衣裳を着て、金色のくさりを首にかけています。
王子がお姫様を見ると、手をつかまえて、この女を踊りの相手にするのだと言い出しました。
お姫様はいやだいやだと言いましたし、この王子があの「つぐみのひげの王さま」だと分かったので、ぎょっとしました。
お姫様は嫌がってもがきましたが、王子はお姫様を広間に引っ張り込みました。
そのとたん、壺をつるしていたひもが切れて、壺が床に落ちて、
中からスープが流れ、お料理のきれはしやパンのかけらがそこいらに散らばりました。
それを見て、ここにいた人がどっと笑って、口々にバカにするので、お姫様は恥ずかしい思いをしました。
入口から飛び出して逃げ出そうとすると、階段の上で、つぐみのひげの王さまが引き戻しました。
つぐみのひげの王さまは愛想良く話しかけて、
「怖がらなくてもいい。
お前と一緒にあのみすぼらしい小屋に住んでいた町楽師の乞食は、この私さ。
お前がかわいいので、あんなふうに姿を変えていて、お前の壺を粉々にしたあの騎兵も、わしだったのさ。
気位の高いお前の心をへし曲げ、さんざん私をばかにしたお前の慢心を罰するためにやったんだよ。」
これを聞くとお姫様は、
「とんでもないことをしました。私は、王子様のお妃になる資格はありません。」
「安心しなさい、悪い日は過ぎた。今度は、私たちの結婚祝いをしよう。」
そこへお腰元たちが来て、美しい衣裳を着せ、お父様がおいでになって、ご家来たちが来ました。
お姫様はつぐみのひげの王さまと一緒になり、本当の喜びが始まりました。
あなたもわたくしも、その場にいあわせればよかったですね。
つぐみのひげの王さまの考察
それではここから、この童話の考察に入ります。
この童話では、気位の高くて慢心のあるお姫様が、改心していく話ですね。
お姫様がどのタイミングで改心したか、考えていきます。
まず、自分の気位の高さによって王様を怒らせて、乞食と結婚するハメになったタイミングでは、その様子はありませんでした。
続いて、つぐみのひげの王さまの領地を通る時も、反省する様子はなく、ボロ小屋についてもそれは変わりませんでした。
ですが乞食と一緒に生活をしている中で、大きく成長します。
お姫様の性格を考えると、家事や、かごを編んだり糸をつむいだりといった仕事は、確実に嫌がるはずです。
ですがそれを拒否することなく、頑張って取り組んでいるところを見ると、
この時点で改心し始めていることが見て取れます。
その後御殿ではしためとして働き、王子の結婚式の時に美しい客を見て、
自分がこんな惨めになったのは気位の高さと慢心だと思って、このタイミングで改めました。
これは、性格に難のあるお姫様が、成長して立派になっていくのを表しています。
そして、この童話としても、良くない考え方を改めれば良い未来があるよっていう教訓を教えてくれています。
そしてつぐみのひげの王さまは、とても立派な方です。
厳しくしながらも、お姫様を良い方向に導いているので、もう一人のお父さん的存在だと考えられます。
一方お姫様の本当のお父さんも、お姫様がこんな大変な目に遭うように、
つぐみのひげの王さまと手を組んで意図的に仕組んだと考えられます。
なぜなら、物語の最後で、そのまま結婚祝いをすることになった時、お父さんがすぐに来たからです。
この作戦を知らなければすぐに現れなかったはずなので、お姫様のお父さんも、お姫様が改心するように仕組んだと考えられます。
つぐみのひげの王さまの感想
この童話は、子供に教える教訓としてとても良いなと感じました。
比較的裕福な家庭で育っている子供は、思いやりがあったり優しい傾向にありますが、わがままな子もいます。
そんな子が、
「調子に乗ってるとひどい目に遭うよ。でも改心すれば、未来は明るいんだよ。」
っていう話を読むと、すぐにわがままが直るわけではないですが、いつかその大事さに気づきそうですね。
あと、お姫様は惨めな生活をすることになっても、お手上げをしないで受け入れていたので、そこは好きでしたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
さて、ここではマッチ売りの少女などの童話がモチーフになっている、かわいくてメルヘンチックな音楽を6曲プレゼントしています。
ブログ主が創った、童話の物語が歌詞になって展開していく、美しい声の女性ボーカルとファンタジーなメロディーが特徴の音楽です。
この童話の音楽6曲を無料で受け取るは、こちらをご覧ください。
というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
<関連記事>
・童話「はだかの王さま」のあらすじと考察~プライドが高いとどうなる
・童話「エンドウ豆の上のお姫様」のあらすじと考察~そんなところが本当に大事なの?
・童話「野ばら姫(眠り姫)」のあらすじと考察~聖なる女はどんな呪いをかけたか
・童話「ウィッティントンと猫」のあらすじと考察~絶対に甘やかさない主人!?
・童話「シンデレラ(灰かぶり)」のあらすじと考察~かぼちゃの馬車はなくなったのか!?
・童話「三つの願い」のあらすじと考察~くだらない願いになった!?
・童話「ある母親の物語」のあらすじと考察~母親は子供の運命を受け入れるのか
・童話「千びき皮」のあらすじと考察~性の歪みの恐怖が姫に襲いかかる!?