童話「ヘンゼルとグレーテル」のあらすじと考察~かわいい二人の大冒険

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より「ヘンゼルとグレーテル」(KHM15)のあらすじと考察、感想までお話しています。

 

ヘンゼルとグレーテルのあらすじ

どこかの大きな森の入り口に、貧乏な木こりが、おかみさんと息子、娘と住んでいました。

男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルという名前でした。

ある年、この国に飢饉が訪れた時は、日々のパンすら手に入らなくなってしまいました。

木こりは、

「わしらはどうしたらいいのかね、もう食べ物もなくなって、どうやって子供を養っていこう。」

するとおかみさんは、

「ねえ、こうしたらどう?

明日、森の中に子供たちを置き去りにしよう。それで、厄介払いができるわ。」

これを聞くと、木こりは反対しましたが、おかみさんから責め立てられて、それを承知してしまいました。

「どう考えても、子供たちがかわいそうだなあ。」

まま母とお父さんのやり取りが聞こえてきて、グレーテルは

「もうおしまいだねえ。」

ヘンゼルは、

「だまって、グレーテル。ぼくがきっと、どうにかするよ。」

それからヘンゼルは、夜になると、親が寝静まるのを待って、

家の外の庭に出て、月に照らされてきらきら光る白い小砂利を、ポケットに入れられるだけ入れました。

次の日、朝早くおかみさんに起こされました。

そして二人に小さなパンをあてがって、家族4人で森へ出かけました。

森の中を歩いていると、途中ヘンゼルは立ち止まって、自宅のほうを見ました。

しかもそれを何度もやるのです。

お父さんが、

「ヘンゼル、なにそんなに珍しそうに見て、どうしたんだ?」

「お父さん、僕、僕の白猫を見てるのさ。あいつ、屋根の上から僕に、あばよって言うんだ。」

するとおかみさんが、

「ばか!あれは朝日が煙突にさしてるだけだよ。」

けれどもヘンゼルは、猫を見てたわけではなく、そのたびに白く光る小砂利を落としていたのです。

森の中まで来ると、お父さんは

「さあ、お前たちはたきぎを集めるんだ。」

ヘンゼルとグレーテルが集めてくると、火がつけられてたき火ができました。

「さあ、お前たちは火のそばに寝転んで休んでおいで。

お父さんたちは木を伐りに森に入ってくるからね。

仕事が済んだら、お前たちを連れに来るよ。」

ヘンゼルとグレーテルは焚火のそばに座り、お昼になるとパンを食べました。

そして、木を伐る斧の音が聞こえていたので、お父さんが近くにいると思っていました。

ところがそれは、木を伐る音ではなく、父親が木に縛り付けた太い枝が、風に揺られてあちこちぶつかる音だったのです。

二人はそのうち、ぐうぐう寝てしまいました。

やっと目が覚めた時は、もう夜でした。

グレーテルが、

「どうやって帰ったらいいんだろう。」

ヘンゼルは妹をなだめて、

「いいからいいから。お月様が出れば、帰り道はちゃんと分かるよ。」

それから月が出て、ヘンゼルは小さい妹の手をとって、あの小砂利を目印に歩き出しました。

石は月に照らされてピカピカ光っていました。

家に帰ると戸を叩いて、おかみさんが戸を開けるとヘンゼルとグレーテルだったので、

「こいつら、なんでいつまでも寝てやがんだい。帰ってくるのが嫌になったと思ったわ。」

けれどもお父さんのほうは、二人が帰って来て喜んでいました。

それから何日かたって、また食べ物がなくなりました。

ある晩、お母さんとお父さんの声が、子供たちの耳に入りました。

「食べるものがまたなくなっちまった。

今度こそ、子供たちを追い出さなけりゃだめだよ。

森の中の、もっと奥の方へ連れてってやりましょ。」

木こりはそれを聞くと、反対しました。

けれども「い」と言えば「ろ」と言われて、木こりはおかみさんの言うことを聞かなければなりませんでした。

子供たちは、この話を聞くと、大人たちが寝静まってから、外に出ようと考えました。

しかし今度は戸に鍵がかかっていて、出られません。

「泣かないでね、グレーテル。安心してね。きっと神様は、僕たちを助けてくれるからね。」

朝早く、二人はおかみさんに起こされ、この前よりもっと小さいパンをあてがわれました。

森の中を進む途中、ヘンゼルはそのパンをすこしずつちぎって、道に一つずつ落としました。

「ヘンゼルや、なに立ち止まってきょろきょろしてるんだ。」

お父さんがそう言うと、

「僕、僕の鳩を見てるんだよ。あいつ、屋根の上から、僕にあばよって言ってるんだ。」

するとおかみさんが、

「ばか!あれは鳩なんかじゃない、朝日が煙突に差してんだよ。」

それから森の奥深いところに着くと、二人はまた焚火にあたって休んでいました。

お父さんたちは木を伐りに森へ入って行きます。

お昼になると、グレーテルはパンをヘンゼルと半分ずつ食べました。

ヘンゼルは、自分の分は道にまいてしまったからです。

それから二人は疲れて寝込みました。

ところがかわいそうに誰も呼びに来るものはなく、そのまま夜になってしまいました。

ヘンゼルは、

「待っててね、お月様が出てパンくずを照らすまでの辛抱だよ。」

ところがお月様が出て、二人は歩き出すと、パンくずは一つも見当たりません。

森の中の鳥たちが、ついばんで食べてしまったのです。

ヘンゼルはグレーテルに、

「道はきっと見つかるよ。」

となだめましたが、森の中で迷ってしまいました。

それからもう一日、朝から晩まで歩きました。

けれども食べたのはいちごのような実を3、4つ食べただけで、お腹はぺこぺこです。

それから歩き続けて、三日目の朝になりました。

この日も歩くには歩きましたが、お腹はぺこぺこですし、森の奥へ行くばかりで、

これで助けが来なければ、いいかげん死んでしまうところです。

そんなお昼のこと、雪のように白くて綺麗な小鳥が、枝にとまって歌っているのが目に入りました。

二人はそれがおかしくて立ち止まって聞いていました。

それで小鳥が歌い終わると、子供たちの前を飛んでいくので、二人はそれについて行くと、

小鳥は小さな家の屋根にとまりました。

この家はなんと、パンでできた家で、屋根は卵焼きのお菓子、窓は白砂糖なのです。

ヘンゼルは、

「やっつけてやれ。僕は屋根をひとかけら食べる。お前は、窓をかじれ。」

ヘンゼルとグレーテルが食べていると、いきなり入口の戸が開いて、石のように年を取ったばあさんが出てきました。

「おやおや、いい子だ。遠慮なくお入り。どうもされやしないよ。」

二人は中に入ると、牛乳だの、卵焼きのお菓子、リンゴやクルミなど、ご馳走が出されました。

食事が済むと、小さな寝台に入って寝ました。

この時、二人は天国にいるような気持ちでいました。

けれどもこの婆さんは、みかけは親切でも、本当は悪い魔女でした。

パンの家も、子供たちをおびき寄せるためのもので、子供が自分の手に入ると、

ばあさんはそれを殺して、ぐつぐつ煮て食べてしまうのです。

魔女と言うのは、赤い目をして、遠くが見えないのです。

ところが鼻はよくきくもので、人間が近寄ってくると、それが分かるのです。

ばあさんは不気味な笑い方をして、

「やつらはこっちのものさ。一度捕まったら、逃げ出せないよ。」

ヘンゼルとグレーテルがふっくりしたほっぺたをして、かわいらしくすやすや寝てるのを見て、

「こいつは上等な食い物になるわい。」

次の日の朝、ヘンゼルは小さな家畜小屋に閉じ込められ、格子戸をたてきってしまいました。

ヘンゼルはわあわあ泣いても、どうにもなりません。

それからグレーテルのところに行って、

「にいちゃんになにか美味いものをこしらえてやりなよ。

にいちゃんは小屋ん中にいる。脂身をつけて、食ってやるのさ。」

グレーテルは泣きだしましたが、どうにもなりません。

かわいそうに、その時からヘンゼルにはごちそうが出されましたが、グレーテルは、ざりがにの皮をもらうばかりでした。

ばあさんは毎朝、ヘンゼルの小屋に行って、

「ヘンゼル、指を出しな。脂がのったかどうか確かめるのだから。」

と声をかけます。

そのたびにヘンゼルは小さな骨をつき出すのですが、ばあさんは目が悪くて、それがヘンゼルの指だと思ってました。

ばあさんはヘンゼルがいつまで経っても太らないのを不思議に思いましたが、我慢できなくなって、

「おい、グレーテル。水をくんできな。ヘンゼルがやせっぽっちのままでもかまうことはない。

ぶち殺して、煮て食っちまうわ。」

かわいそうに、グレーテルは水をくんだとき、どんなに泣いたことでしょう。

「神様、どうかお助けください。

こんなことなら、あたしたち、森の中のけものに食べられれば良かった。

そしたら、二人一緒に死ねたのに。」

「ほえるのはいいかげんにしなよ。何をしたって無駄さ。」

朝早くからグレーテルは、水の入った鍋をつるして、火をたかなければなりませんでした。

それから魔女は、炎が燃えているパンがまのところにつきだして、

「パンも焼こう。パンを入れてもいいか、火が回ってるかどうか中に入って見てくれ。」

グレーテルが入ったら、ばあさんはかまどを閉めてしまうつもりでした。

グレーテルを丸焼きにして、頭から食べてしまうつもりだったのです。

ところがグレーテルはこのたくらみに気づいて、

「あたし、どうしたらいいかわからないわ。どうやって入るの?」

「ばかね、口はこんなに大きいんだ、おいらだって入れるじゃないか。」

ばあさんはこう言いながら、パンがまの中へ、頭を突っ込みました。

そこを、グレーテルがどん!と突くと、ばあさんはどっと奥の方へ入りました。

その瞬間にグレーテルは鉄の戸を閉めて、かんぬきを差し込みました。

ばあさんはうおーと吠え出しましたが、それはすごい声です。

魔女は神様の罰があたって、焼け死んでしまいました。

グレーテルはヘンゼルのところへかけていって、

「ヘンゼルお兄ちゃん、私たち助かったのよ、魔女のばあさんは死んだわよ。」

小屋の戸を開けると、二人は大喜びでした。

それから二人は魔女の家で、真珠や宝石をたくさん見つけました。

「こいつは小砂利より気が利いてるぜ。」

ヘンゼルはポケットに入るだけ詰め込み、

「あたしも、おみやげに持ってくわ。」

グレーテルは小さな前掛けにたくさんさらいこみました。

それから魔女の家を出て、2、3時間歩くと、大きな川岸に出ました。

ここには橋がなかったのですが、

「あ、あそこに白い鴨がいるわ。渡してもらおうよ。」

グレーテルは、鴨に呼びかけました。

「かもちゃん、かもちゃん、

わたしたちはヘンゼルとグレーテル。

橋がなくて渡れない、

お前の白い背中へのせておくれ。」

鴨は近寄って来てきました。

ヘンゼルはその背中に乗り、妹にも乗るよう言うと、

「だめよ。それじゃあ、かもちゃんには重いわ。一人ずつ行きましょう。」

親切なかもは、二人を川の向こう側に運んでくれました。

それから少し歩くと、お父さんの家が見えてきました。

二人は家につき、お父さんにかじりつきました。

木こりは、二人がいなくなってから生きた心地がしなく、おかみさんは死んでいました。

それからヘンゼルとグレーテルは、自分たちの持ってきた真珠や宝石を出しました。

これで、苦労することは終わって、これから三人は嬉しいことばかりの日々を送りました。

あたしの話は、これでおしまい。

あすこにいるのは、はつかねずみ。

あれを捕まえた方は、あれで毛皮の頭巾をこしらえてくださいまし。

 

ヘンゼルとグレーテルの考察

それではここから、この童話の考察に入ります。

まず、この童話の悪者は、まま母と魔法使いのばあさんでしたね。

まま母は、子供たちを捨てようと言い、実際に森の中に置き去りにしました。

魔法使いのばあさんは、子供たちを食べようとたくらんでいました。

ところで、この二人は同じ人物のようにも思えてきます。

(実際は別々の登場人物ですが、同じ悪人です)

物語では、まま母は意地悪な役目です。

その意地悪さゆえに、物語の主人公を殺そうとしてきます。

その役目は、ヘンゼルとグレーテルを森の深いところにおきざりにしてくる、というところで終えます。

そこからは魔法使いのばあさんにバトンタッチです。

魔法使いのばあさんというのは、物語の世界で悪者で、美しい者を閉じ込めたり、子供をおびきよせて、食べてしまうものです。

魔法使いのばあさんは、二人にとどめをさす役割でした。

ところがグレーテルの活躍により、悪者のばあさんは死ぬことになりましたね。

そしてうちに帰るとまま母は死んでいたので、まるで魔女が死ぬと同時に死んだようにも思えてきます。

同じ悪者で、同じような時期に死んだので、まるで同一人物のように感じられます。

それからヘンゼルとグレーテルがお菓子の家にたどり着くまで、白い綺麗な鳥が案内してくれましたね。

この鳥は、魔女の使い魔のようなものだったのでしょうか。

おそらく、それは違うと考えられます。

鳥の色は白色だったので、神聖さがあります。

魔女の使い魔だとしたら、白色にはならないと考えられますので、おそらくこの鳥は、

二人をおびき出したのではなく、二人を飢えから助けるための鳥だと考えられます。

たどり着いたのは悪い魔女の家でしたが、そうも言ってられないくらい二人はお腹が空いていたから、

ここに連れてきたということでしょう。

また、二人の父親はおかみさんに言い負かされたとはいえ、子供を森の中に捨てるというとんでもないことをしてしまいます。

現代社会からしたらあり得ないことですが、この童話が作られた時代では、

子供を捨てるということがあったのかもしれません。

 

ヘンゼルとグレーテルの感想

この童話は、小さい頃に絵本で読んだこともありました。

それが今になってちゃんとした童話で読むと、付け足されていた表現がたくさんあって、

この物語のより深い部分を感じることができました。

絵本のかわいいヘンゼルとグレーテルを思い出しながら読んでいたので、感情移入していました。

あと、ヘンゼルとグレーテルにとっては、まさに大冒険でしたね。

森の中に2度も捨てられ、魔女の家で救われたと思ったら、食べられそうになる。

そして最後は魔女をやっつけて、お宝を持って帰る。

この童話は、僕が最も好きな童話のうちの一つです。

この童話をモチーフにした音楽も創っているところです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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