童話「子供たちが屠殺ごっこをした話」のあらすじと考察~ひたすら死ぬのは誰?

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より「子供たちが屠殺ごっこをした話」あらすじと考察、感想までお話しています。

 

子供たちが屠殺ごっこをした話のあらすじ

この童話には、第一話と第二話の二種類の話があります。

 

第一話

西部フリースランド(オランダ)の小都会で、五~六歳くらいの男女の子どもたちが遊んでいました。

やがて子供たちはそれぞれ役割を決めて、一人の男の子に、お前は牛や豚をつぶす人だと言い、一人の男には、お前は料理番だと言い、また別の男の子には、お前は豚だよと言いました。

それから一人の女の子は料理番になり、もう一人は料理番の下働きです。

役割を決めると、豚をつぶす男の子は豚役の男の子につかみかかって、ねじ倒し、のどを小刀で切り裂き、料理番の下働き役の子は、ふきだした血を皿で受けました。

そこへ議員が通りかかって、この様子を見ていたので、豚をつぶす子を捕らえて、市長の家に連れて行きました。

市長は議員を集めて、この子の処分を考えましたが、子供遊びでやっていたものだと分かっていたので、どうしたら良いか見当がつきません。

ところが議員の中の賢い老人が提案しました。

それなら裁判長が、片手にリンゴを持って、もう片方の手にグルテン銀貨を持って、子供につきだせばよい。

子供がリンゴを取れば無罪にして、銀貨を取れば死刑にすればよい、と知恵を出しました。

そのとおりにすると、子供は笑いながらリンゴをつかみました。

これでこの子供は、無罪になりました。

 

第二話

あるとき、お父さんが豚をつぶすところを、小さい子供たちが見ました。

お昼を過ぎて、一人の子が、もう一人の子に、

「お前、豚になれ。僕は豚をつぶす人になる。」

そう言うと、弟ののどを小刀(ナイフ)で突き刺しました。

お母さんは、上の部屋で赤ちゃんをたらいでお風呂に入れていましたが、子供の叫び声を聞いて飛んできました。

そしてこの様子を見るなり、腹立ちまぎれに小刀を取って、豚のつぶし手だったもう一人の子の心臓に突き刺しました。

それから、たらいの中の子はどうしてるかと思って戻ると、赤ちゃんはおぼれ死んでいました。

これが原因で、お母さんはやけくそになって、首を吊ってしまいました。

それからお父さんが畑から帰ってくると、このありさまを見て、絶望してしまい、それから間もなく死んでしまいました。

 

子供たちが屠殺ごっこをした話の考察

それではここから、この童話の考察に入ります。

 

第一話の考察

まずこの物語では、なぜ子供たちがこんなに惨酷な遊びをしようと思ったのか、全く書かれていません。

子供たちがどんな性格だったのかや、子供たちの間でいじめがあったのかもないですし、

どういう経緯でこうなったのかも、書かれていません。

ということは、そんな理由はどうでもよくて、子供たちが屠殺ごっこという遊びを始めたことだけにフォーカスしているということだと考えられます。

さらに、子供たちが始めた遊びなのだから、遊びを始めるのに理由はいらない、という考えも取れます。

話が進んでいき、議員たちの間で、子供を裁判にかけるか話し合われて、

子供が銀貨を取ったら有罪、子供がリンゴを取ったら無罪にするということが決められました。

なぜ銀貨を取ると有罪になるかというと、豚をつぶす人として、屠殺した代金を受け取るかどうかが試されたのだと考えられます。

銀貨を取れば仕事の報酬を受け取ったことになりますが、子供はリンゴを取りました。

リンゴはただのおやつなので、無罪になったのだと考えられます。

 

第二話の考察

こちらの話では、不幸が連鎖して、一家全員が死んだという話ですね。

兄弟の屠殺ごっこで弟が死ぬのから始まって、兄、お母さん、赤ちゃん、お父さんと連続で死にます。

この童話の気になるところは、登場人物の感情がほとんど書かれておらず、ただ死んだ、死んだと続きます。

これは、登場人物の感情を事細かに書いてしまうと、読んでる側が辛くなってしまうからと考えられます。

この童話は子供が読むことも想定していますが、読み手の子供は、意外と残酷な話が好きなようです。

人が死ぬ話は子供にとって笑える話だそうですが、それが事細かに描写されていたら、子供に強い影響を与えてしまうと考えられます。

なので、死んだ、死んだという事実だけが続くのは、むしろ童話として都合がいいのでしょう。

そういった理由から、登場人物の性格や感情が書かれていないと考えられます。

 

子供たちが屠殺ごっこをした話の感想

では最後に、この童話の感想ですね。

この童話って、感情移入するシーンがないんですよね。

ただ、死んだ、死んだと続いているだけで、なぜそういう展開になったのか、登場人物はどんな性格なのかは書かれていません。

なので、子供にとってはこういう変な話が好きで楽しめるのかもしれませんが、大人からしてみれば、「ふ~ん」って感じになってしまいそうです。

ちなみにこの話を子供に聞かせてケラケラ笑ったとしても、その子が残酷な子ということは絶対にないのでご安心ください。

ただ、グリム童話には主人公が困難を乗り越えて幸せになる話や、喜劇もありますので楽しい話もたくさんありますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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