童話「白雪姫」のあらすじと考察~お妃は人間ではあり得ないことをした!?

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より「白雪姫」(KHM53)のあらすじと考察、感想までお話しています。

 

白雪姫のあらすじ

むかし昔、どこやらの国の王様のお妃が、

「雪のように白く、血のように赤く、窓枠の木のように黒い子供があったら、さぞ嬉しいのに。」

と考えていました。

その後まもなく、お妃は女の子を産みました。

この子は、雪のように白く、血のように赤く、黒檀(こくたん)のように黒い髪の毛を持っていたので、白雪姫と名前がつきました。

それからこの子が産まれると、お妃は亡くなってしまいました。

その一年後、王様は別のお妃をむかえました。

この人はそれは美しい女でしたが、気位が高く、慢心していて、美しさで負けることは我慢できませんでした。

このお妃は不思議な鏡を持っていて、

「かがみや、かがみや、お国中で一番美しい女はだあれ?」

と声をかけると、鏡は、

「それはお妃さま、お妃さまこそ、お国で一番美しい。」

と返事をすることになっていました。

これを聞くと、お妃さまは安心しました。

なぜなら、鏡は本当のことしか言わないと分かっているからです。

一方、白雪姫は大きくなり、それにつれてどんどん美しくなりました。

白雪姫が七歳になったときは、お妃よりも美しくなったのです。

あるときお妃が、いつもの鏡に、

「かがみや、かがみや、お国中で一番美しい女はだあれ?」

と声をかけると、鏡は、

「お妃さま、ここではお妃が一番美しい、

けれども、白雪姫は、お妃さまの千倍も美しい。」

と返事をしました。

これを聞くと、お妃は妬ましさのあまり、雪白姫を憎たらしく思いました。

その嫉妬は日に日に大きくなり、あるときお妃はかりゅうどを呼び出して、

「あの子を森の中へ連れてっておくれ。

もうあれは見たくないの。

あの子を殺して、その証拠に肺と肝臓を持って帰るのだよ。」

かりゅうどはその通りに、お姫様を連れ出しました。

そして森の中で刀を抜いて、白雪姫の心臓に突き立てようとすると、お姫様は泣きだして、

「いやよ、いやよ。ねえ、かりゅうどのじいや、殺さないで。

あたし、森の奥に入って、もう二度とお家へは帰らないからね。」

そう言われるとかりゅうどもかわいそうになって、

「そんならどこかに行っておしまい。かわいそうにねえ。」

かりゅうどは、じきに森のけだものに食べられてしまうと思いましたが、自分の手で殺さなくてよかったので、ホッとしました。

それから森の中の猪を殺して、肺と心臓をえぐりだして、おみやげにしました。

するとお妃はそれを料理番に料理させ、ぺろりと食べてしまいました。

これで、悪魔のような女は、白雪姫の肺と肝臓を食べたつもりでいました。

一方白雪姫は、森の中を進んでいき、日が暮れてきた頃、ちょうど小さな家を一軒見つけました。

家の中はなにもかもが小さくありましたが、きれいでした。

そして小さな食卓があり、その上には小さな皿が七つと、小さなナイフとフォークが七本、小さなお盃が七本ありました。

それから壁ぎわには、小さなベッドがやっぱり七個並んでいました。

白雪姫はおなかがぺこぺこで、のどがからからです。

そこで、それぞれのお皿から、野菜やパンを少しずつ食べて、それぞれのお盃から、少しずつ飲みました。

一人のものばかり残らず取ったら、悪いと思ったからです。

それから小さなベッドを少しずつ試していき、七つ目のベッドが気に入ったので、そこでぐうぐう寝てしまいました。

真っ暗になってから、この小さな家の住人が帰ってきました。

それは、七人のツウェルクという一寸法師なのです。

一寸法師たちは、誰かがこの家に入ってきたことに気づきます。

一人目が、「誰が、おいらの椅子に座ったんだい」

二人目が、「誰が、おいらのお皿のもの食べたんだい」

三人目が、「誰が、おいらのパンを取ったんだい」

四人目が、「誰が、おいらの野菜を食べたんだい」

五人目が、「誰が、おいらのフォークを使ったんだい」

六人目が、「誰が、おいらのナイフで切ったんだい」

七人目が、「誰が、おいらの盃で飲んだんだい」

それから、寝床に小さなくぼみがあるのを見つけて、

「おいらの寝床に誰か寝たぞ。」

そして七人目のも自分の寝床をのぞくと、白雪姫を見つけました。

女の子が横になって寝ているのを見て、がやがや大声を上げながら、大喜びです。

「こいつはたまげたぞ!見ろ、このきれいな子ったら。」

それから夜が明けて、朝になると白雪姫は目を覚ましました。

白雪姫は七人の一寸法師を見て驚きましたが、みんな親切です。

それから、白雪姫はまま母に殺されそうになって、逃げてきたことを話しました。

すると一寸法師たちは、

「お前がうちのことをやってくれるなら、ここにずっといてもいいよ。」

白雪姫はこの家にいることになりましたが、一日中一人ぼっちです。

一寸法師たちは、毎朝お山の地面の下に入って、黄金を探して、日が暮れると戻ってくるのです。

それで一寸法師たちは、

「まま母に気をつけるのだよ。お前がここにいることは、じきに知るだろうからね。

誰もうちに入れてはいけないよ。」

ところでお妃は、白雪姫の肺と肝臓を食べたと思い込んでからは、自分が世界で一番美しい女だと思い込んで、

鏡に向かって、

「かがみや、かがみや、お国中で一番美しい女はだあれ?」

と声をかけると、鏡は、

「お妃さま、ここではお妃が一番美しい、

けれども、お山の向こうの七人の一寸法師のうちにいる白雪姫は、

お妃さまの千倍も美しい。」

これを聞いて、お妃はぎょっとしました。

そして、白雪姫の命を取ることを考えました。

お妃は婆さんに変装して、お山を七つ越え、七人の一寸法師のうちに行くと、トントンと戸を叩き、

「きれいな小間物はいかがかな、きれいな小間物はいかがかな。」

そう呼びかけました。

白雪姫は、窓から顔を出して、

「こんにちは、おばあさん、どんなもの売ってるの?」

「上等な品、いろんな色の胸ひも。」

そう言って、ばあさんは五色の絹糸で編んだひもを見せました。

白雪姫は、このばあさんをすっかり信用して、戸を開けてその胸ひもを買いました。

「まあ、嬢ちゃんったら。おばあさんが一つ、うまく締めてあげる。」

ばあさんはこう言うと、白雪姫の胸ひもをぎゅっと強くしめつけたので、

白雪姫は息が止まって、死んだようにばったり倒れました。

「さ、これであたしが一番美しいのさ。」

ばあさんはこう言って、帰って行きました。

それから日が暮れると、一寸法師が帰って来て、倒れてる白雪姫を見つけて驚きました。

ですが、胸ひもをぶつりと切ると、生き返りました。

白雪姫はわけを話すと、

「その小間物屋ってのは、神様の怖いことを知らないお妃だよ。どんな人間でも、決してうちへ入れてはいけないよ。」

悪魔のような女は、うちへ帰って鏡に聞いてみました。

すると、また同じことを言ったので、白雪姫が生き返ったことが分かりました。

それからまた、白雪姫の命を取ることを考えます。

お妃は魔術を使って、毒のあるくしをこしらえ、別の婆さんに変装しました。

また一寸法師の家に行って、

「上等の品物はいかが、上等の品物はいかが?」

白雪姫は外をのぞいて、

「あたし、だれもうちん中へ入れられないのよ。」

「でも、ご覧になるだけならよろしゅうございましょう。」

婆さんはこう言って、毒のあるくしを見せました。

白雪姫は戸を開けてしまい、毒のくしを買うことになると、

「それでは、ひとつ、髪をすいであげましょう。」

ばあさんがそのくしを白雪姫の髪の毛にさすと、かわいそうに白雪姫は、毒がまわって倒れました。

「お前は美しいが、今度こそお陀仏だよ。」

大悪者の女は、こう言い捨てて行ってしまいました。

日が暮れて、一寸法師たちが帰ってくるとびっくりです。

ですが毒のあるくしを髪から抜くと、白雪姫は生き返りました。

そして一寸法師たちが留守中にあったことを話すと、どんな人が来ても決して戸を開けないようにと、もう一度言いました。

お妃は帰って、鏡に同じことを聞きました。

ですが鏡は、相変わらず白雪姫が一番美しいということを言うと、

「白雪姫のやつ、どうやったって殺してやる。こっちの命がなくなったってかまうもんか。」

お妃は今度は、毒リンゴをこしらえました。

この毒リンゴは白くて赤く、見かけは綺麗で、見たら誰でも食べたくなるのですが、

食べたら最後、どうしても死んでしまうのです。

毒リンゴができると、お妃は百姓のおかみさんに変装して、七人の一寸法師のうちに行きました。

おかみさんはトントンと戸を叩くと、白雪姫は窓から顔を出して、

「あたし、どんな人でもうちへいれるわけにいかないのよ。」

「ああ、いいとも。おばさんの持ってるリンゴ、一つあげるわ。」

「いらない、あたし何にももらってはいけないの。」

「毒が入ってると思ってるの?

そしたらね、このリンゴ、二つに切るから、赤いほうはお嬢ちゃん食べな、白いほうはおばさんが食べる。」

ところがこのリンゴは、赤いほうにだけ毒がぬってあったのです。

白雪姫はその見事なリンゴが食べたくて仕方ありません。

それで、おかみさんが白いほうを食べると、我慢できなくなって毒のある半分を食べました。

そうすると、白雪姫は息絶えて、ごろりと倒れました。

おきさきはそれをじろじろ見て、げらげら笑いだして、

「雪みたいに白く、血みたいに赤く、黒檀みたいに黒いわねえ!

今度こそ、一寸法師のやつらだって、どうにもできやしないよ。」

それからうちへ帰って、

「かがみや、かがみや、お国中で一番美しい女はだあれ?」

「それはお妃さま、お妃さまこそ、お国で一番美しい。」

これでお妃の嫉妬心は、落ち着きました。

一寸法師たちは日が暮れて帰ってくると、白雪姫が転がっているのを見つけました。

ですが、今度ばかりはどうにもなりません。

紐をといたり、髪の毛をすいたり、体を洗ってもダメでした。

白雪姫は死んだのです。

棺の上に白雪姫をのせ、みんなで泣き悲しみました。

それから葬ろうとしましたが、白雪姫は、まだ生きているかのように美しく、赤いほっぺたをしていました。

「こいつは、泥の中にうずめるわけにはいかんな。」

一寸法師たちはそこで、外から見えるガラスの棺をこしらえ、その中に姫を寝かせました。

それからその棺をお山の上に置き、一寸法師たちは一人ずつ、その番をしました。

動物たちもやってきて、白雪姫の死を泣き悲しみました。それからふくろうやからす、小鳩も来ました。

こうやって長い間棺の中に入っていましたが、白雪姫はいつまでも美しいので、まるで眠っているようでした。

ある時、どこかの国の王子が来て、一寸法師の家に泊めてもらうことがありました。

王子は棺に入っている白雪姫を見ると、

「この棺を、僕に譲ってください。お礼はいくらでもあげますよ。」

すると一寸法師たちは口をそろえて、

「この棺はどんなお宝を積まれてもあげない。」

王子は、

「それなら、これを僕にただでください。僕は白雪姫を見ないでは生きられないんだ。

お姫様を大切にして、下に置くようなこともしないでいるがなあ。」

王子にこう言われると、もともと優しい一寸法師たちは、王子に棺をあげました。

王子は家来に棺をかつがせて行きました。

が、運命とは不思議なものです。

家来たちが背の低い木につまずいたとき、棺がぐらっとゆれて、

その拍子に白雪姫の食べかけのリンゴが、喉から飛び出したのです。

すると白雪姫は目をあけて、棺のふたを持ち上げて立ち上がりました。

白雪姫は生き返ったのです。

「あらまあ、あたし、どこにいるのよ。」

王子は嬉しくなって、

「あなたは、僕のそばにいる。

僕はあなたを大切にしてあげる、僕と一緒に、城まで来てください。

あなたを、僕のつれあいにしてください。」

これを聞いて、白雪姫も王子を愛しく思い、一緒にお城に行きました。

そして、ご婚礼が取り上げられることになり、このお祝いには、悪者のまま母も招かれました。

まま母は、立派な衣裳をつけてから、鏡に向かって、

「かがみや、かがみや、お国中で一番美しい女はだあれ?」

「お妃さま、ここではお妃が一番美しい、

けれども、白雪姫は、お妃さまの千倍も美しい。」

これを聞くと、悪魔のような女は、「ちくしょう!」と口走り、何がなんだか分からなくなりました。

それで、ご婚礼の席に出るのはよそうと考えましたが、やっぱり若いお妃が誰のことか気になって行きました。

お妃が御殿に入ると、若いお妃というのは白雪姫だと気づきました。

するとお妃は、胸が締めつけられるように苦しく、立ちすくみました。

すると、鉄の上靴が炭火の上に乗せてあるのが持ち込まれ、お妃の前に置かれました。

お妃はその真っ赤に焼けている靴を嫌でも履かされて、踊って踊りぬくうちに、息絶えてばったり倒れました。

 

白雪姫の考察

それではここから、白雪姫の考察に入ります。

まず、この物語の悪者であるお妃は、神への忠誠心が全くなかったといってよいですね。

一寸法師たちも、

「神様の怖いことを知らないお妃だよ」

と言っていましたし、お妃も毒リンゴをこしらえるとき、

「私の命がなくなったって、かまうもんか。」

って言っていましたね。

このお妃の発言では、毒リンゴを白雪姫に食べさせても、自分が死ぬこととつながりはないはずです。

ですが、自分の命がなくなったっていいって言っていたということは、天罰が当たることが分かっていたと考えられます。

そしてこのお妃は最後は、真っ赤に焼けた鉄の靴を履いて、死ぬまで踊らなければいけませんでした。

ですが、誰がこんな靴を用意したか、誰がこういうことをさせたかは書いてありません。

とすると、神様の罰が当たることが分かっていたと思われることから、この罰は、神様が仕向けたと考えられます。

また、白雪姫は雪のように白く、血のように赤く、黒檀のように黒い髪を持っていたとありました。

白い部分は肌だと考えられ、黒いのは髪の毛です。

ですが、血のように赤い、というのはどこにも書いてありませんでした。

ですがおそらくこれは、ほっぺたが赤いのと、唇が赤いのと考えてよいでしょう。

それから、この物語で一寸法師は7人でした。

7という数字は、グリム童話では定番の数字ですね。

他の童話でも、7という数字はたくさん出てきます。

 

白雪姫の感想

この童話はもちろん、小さい時に絵本で読んだことがあったのですが、

グリム童話の大人向けの本で読むと、そこにはなかった記述がたくさんあって面白かったです。

そして、このお妃は本当に恐ろしかったです。

白雪姫のものだと思った肺や肝臓を食べるって、まさに悪魔ですよね。

あと、毒リンゴを食べさせる前に二度、白雪姫を殺そうとしたのも、絵本にはなかったことです。

さらに、登場人物の性格なども事細かに書かれていたりして、より深いところを読めました。

そして今回の白雪姫、メルヘンチックな音楽とかわいいイラストを使って、見て聴いて楽しめるMVにしました↓

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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