こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「蜜蜂の女王」(KHM62)のあらすじと考察、感想までお話しています。
蜜蜂の女王のあらすじ
むかし、二人の王子が旅に出たまま帰ってきませんでした。
そこで一番末の王子、これは呆助という名前なのですが、この王子がお兄さんたちを探しに行くことになりました。
ところが、やっとのことで探し出すと、お前のような間抜けな奴が世の中を歩き回るのはむしのいい話だ、と言ってバカにしました。
それから、三人で旅を続けているうち、蟻の塔のあるところへ来ました。
お兄さんたちはその蟻の塔をほじくりかえそうとしましたが、
「動物はそっとしておきなさい。お兄さんたちがじゃまをするなんて、嫌だ。」
と呆助が言いました。
それから、湖の岸に来ました。湖には鴨がたくさん泳いでいました。
お兄さんたちは、こいつをつかまえて焼き鳥にすると言い出しましたが、呆助は
「動物はそっとしておきなさい。お兄さんたちが鴨を殺すなんて、嫌だ。」
その後は、蜂の巣のあるところに来ました。巣の中には蜜がたくさんあるようです。
これを見るとお兄さんたちは、たき火をして木の下から蜂を窒息させたら蜜が取れると言い出しましたが、呆助は
「動物はそっとしておきなさい。お兄さんたちが蜂を焼き殺すなんて、嫌だ。」
こうして、お兄さんたちを止めました。
そうして歩いて行った後、どこかのお城に入りました。
お城には馬がいましたが、みんな石でしたし、人間は誰もいません。
三人は城の中を歩き、城の一番奥の部屋の扉の前に来ました。
扉には錠が3つぶらさがっていて、扉の真ん中には小窓があります。
その小窓から部屋の中をのぞくと、ねずみ色の小人が一人座っているのが見えました。
三人の王子は、小人に呼びかけてみます。
すると小人は立ち上がって、三つの錠を開けて出てきました。
けれども、この小人は一言も口をききません。
それから三人は、ご馳走を食べさせてもらい、別々の寝室で寝ました。
次の朝、この小人が一番上の王子を手招きして、石板を見せました。
この石板には、やらなければいけないことが書いてあって、それがうまくいけば、このお城にかかっている魔法が解けるのです。
最初の仕事は、森の中のコケの下にお姫様の真珠が千粒隠してあって、それを探し出さなくてはならない、というものです。
ただし、もし日の入りまでにただの一粒でも足りなかったら、その者は石になるというものです。
一番目の王子は一日中探しましたが、100粒しか集められず、石になってしまいました。
次の日は二番目の王子がやりましたが、あまり変わらず集められたのは200粒だけ。
これも石になってしまいます。
そして最後には、呆助の番になりました。
呆助は真珠を探していますが、なかなか上手くいかず、石に腰かけて泣いてしまいました。
そこへ、前に命を助けた蟻の王様が、家来の蟻を五千匹連れてきました。
そしてこの蟻たちが、真珠を全て拾い出しました。
二番目の仕事は、お姫様の寝室の鍵を海の中から取ってくることです。
呆助が海へ行くと、命を助けたことのある鴨たちが泳いできて、水の中から鍵を取ってきてくれました。
三番目の仕事は、最も難しいことでした。
眠っている三人の王女から、一番年下の、一番かわいいのを探し出せということでした。
ですが三人はどこからどこまで同じで、違ったのは、眠る前にそれぞれ違った甘いものを食べたということだけでした。
一番上の王女はお砂糖の塊、二番目の王女はシロップを少し、末の王女は蜂蜜です。
呆助が途方に暮れているところへ、前に命を助けた蜜蜂の女王がやってきて、三人の王女の口をなめました。
すると女王蜂は蜂蜜を食べた口に止まったまま動かないので、王子は末の王女を見つけることができました。
これで、魔法は解けました。
寝ていたものは起き上がり、石になっていたものは元の姿になりました。
それから呆助は、一番年下のかわいい王女をお嫁さんにして、王女の父親が亡くなった後は自分が王様になりました。
そしてお兄さん二人も、あとのお姉さん二人の王女をお嫁さんにしました。
蜜蜂の女王の考察
それでは、この童話の考察に入ります。
物語の最初で、お兄さん二人が末っ子の王子・呆助をバカにしていましたが、
この後お兄さん二人は難題に失敗して石になってしまい、難題をクリアしたのは呆助でしたね。
ところで他の童話だと、お兄さん二人が腹黒い人で、末っ子の王子をひどい目にあわせ、手柄を奪うというパターンがあります。
ところがこの童話ではそうはならず、三人とも幸せになりました。
この童話ではお兄さん二人は、蟻や鴨、蜂を殺そうとするなど、ある程度の悪い心を持っていました。
にも関わらず、末の王子をひどい目にあわせなかったのは、この童話が王女と結婚したところで終わっているからだと考えられます。
もしこの続きがあれば、お兄さんたちも悪事を働いたと考えられます。
また、呆助を助けてくれたのは蟻の王様、鴨たち、蜜蜂の女王でしたが、この童話のタイトルは蜜蜂の女王になっているのは、
一番難しい課題を解決してくれたのが蜜蜂の女王だったことと、それがお姫様そのものに関係している課題だったから、と考えられます。
それと、石板に書かれた3つの難しい仕事は、結局全てお姫様に関することでした。
なので、城全体にかかっていた魔法は、お姫様を中心にかけられていた、と考えられます。
また、このお城にはねずみ色の小人が一人いて、この人は無口でした。
この人は何者かということですが、もともとお城の人だったことには違いなさそうです。
ですが、この人は王様なのか、それともお姫様のお世話役なのか、ご家来の中でも一番下っ端なのか。疑問が残ります。
様々なことを考えさせられますが、これはお姫様のお世話役だと考えています。
なぜなら、もしもこれが王様なら、「あの小人は王様だったのです」などと記述がありそうだからです。
しかしそれがないことと、ねずみ色というのは汚れた色です。
お姫様のお世話をして苦労しているから、魔法がかかっている状態ではねずみ色の小人になったと考えています。
蜜蜂の女王の感想
この童話では、上のお兄さん二人は残酷でしたね。
蟻の巣をほじくり返そうとしたり、鴨を焼き鳥にしようとしたり、蜂を焼き殺そうとしたり。
でも、蟻の巣をほじくるとか、蜂を焼き殺そうとするのは、なんだか子供っぽさも感じられますね。
それを止めようとしている弟のほうが、精神的に成長している感じの話でしたね。
あと、今回はお兄さん二人も王女と結婚できて、ハッピーエンドになって平和な話でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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