童話「赤ずきん」のあらすじと考察~狼はまるで現代の悪いおじさん!?

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より、「赤ずきん」(KHM26)のあらすじと考察、感想までお話しています。

 

赤ずきんのあらすじ

むかし昔、あるところに小さな愛くるしい女の子がいました。

この子は本当にかわいい子でしたが、中でもかわいがったのはこの子のおばあちゃんでした。

あるときおばあちゃんは、この子に赤いずきんをやりました。

その赤いずきんがこの子によく似合って、ずっとかぶっていたのでこの子は赤ずきんと呼ばれるようになりました。

ある日、お母さんは赤ずきんに、

「赤ずきんや、ここにね、お菓子とぶどう酒が一本ある。

これをおばあちゃんのところに持って行ってね。

おばあちゃんはご病気で弱ってるけど、こういうのが薬になるのよ。

外へ出たら、寄り道しちゃだめよ。

それから、おばあちゃんのところに行ったら、おはようございますって言うのよ。

さあ、行ってらっしゃい。」

「そんなこと、あたし大丈夫だよ。」

ところでそのおばあちゃんというのは、村から30分くらい歩く森の中に住んでいるのです。

赤ずきんが、いよいよ森に入ると、例の狼に出くわしました。

(オオカミは童話ではいつも悪いことをするので、「例の」と言ったのです)

しかし赤ずきんは、狼がどんな生き物か知らないので、怖いと思いません。

「こんにちは、赤ずきん。」

「おおかみさん、こんにちは。」

「赤ずきん、こんな早くからどこへ行くの?」

「おばあさまのところよ。」

「どこ?おばあさんのおうちは?」

赤ずきんはおばあちゃんの家の場所を教えました。

すると狼は、

「若くってやわらかい。こいつ、脂がのっていて、ばばあよりずっとうまそうだ。

なんとかだまして、二ひきともぱっくりやっちまえないかな。」

と考えました。

狼は少しの間、赤ずきんと一緒に歩いていきましたが、

「ねえ、赤ずきん。周りを見てごらんよ。

そこいらにきれいな花が咲いてるし、小鳥があんな面白い歌を歌ってるよ。

赤ずきんはもう目を奪われてるじゃないか。」

赤ずきんは、日の光が木々の間を踊り、どこもかしこも綺麗な花が咲いてるのを見ると、

「ここに咲いているお花をあげたら、おばあさまはきっと喜ぶわ。

こんなに早く出てきたんだから、遅れずに向こうにつけるわ。」

そう考えて、森の横道に入って、気に入るお花を探し始めました。

そうして、もっといいお花があるだろうと、どんどん奥へと入っていきました。

一方狼は、まっすぐおばあさんの家に行って、とんとん、と戸を叩きます。

「どなたかの」

「赤ずきんよ。お菓子とぶどう酒を持ってきたの。開けてくださいな。」

「ドアを押して入って来て。体が弱ってて、起きられないの。」

狼はドアを押して中に入ると、一言も言わず、いきなりおばあさんの寝床へ行き、おばあさんを飲み込んでしまいました。

そしておばあさんの着物とずきんをつけて、おばあさんのふりをします。

そして寝床に入ってカーテンをひいておきました。

ところで赤ずきんは、花を集めて歩き回っていました。

それがもう持てないくらい集めると、おばあさんのことを思い出し、おばあさんの家に向かいました。

行ってみると、入口の戸は開けっぱなしで、不思議に思いました。

それから中の様子がいつもと違って、なんだか気味が悪いです。

「おはようございます。」

赤ずきんは声を出しましたが、何の返事もありません。

すぐ寝台のところに行ってカーテンを開けます。

するとおばあさんが、奇妙な様子で寝ていました。

「あら、おばあさまのお耳、ずいぶん大きいのね。」

「お前の言うことがよく聞こえるようにさ。」

「あら、おばあさまの目、ずいぶん大きいのね。」

「こうでなきゃ、お前がよく見えないからね。」

「あら、おばあさまの手々、すごく大きいのね。」

「こうでなきゃ、お前をつかめないからね。」

「だけどね、おばあさまの口の大きいこと、あたしびっくりしたわ。」

「こうでなきゃ、お前を食べられないからね。」

こう言ったか言わないうちに、狼は寝床から飛び出して、かわいそうに、赤ずきんをぱくりと飲み込みました。

狼は二人を飲み込むと、また寝床へ入って、とても大きないびきをかいて寝てしまいました。

そこへかりゅうどが、通りかかりました。

おばあさんの家の前を通った時、ばあさんが大きないびきをかいて寝ているのを不思議に思い、家の中へ入ります。

そして寝台で見たのが、目をつけていた狼だったので、

「こいつ、こんなとこにいやがった。ようやく見つけたわい。」

かりゅうどは鉄砲を向けましたが、

「待てよ、狼のやろう、ばあさまを食べたんじゃないか、まだ命が助かるかもしれないぞ。

そう思い、鉄砲をうつのをやめて、はさみを手に取って、狼のお腹を切りました。

すると女の子が飛び出して、

「ああびっくりした!狼のお腹は、真っ暗なのね。」

それから、おばあさんも出てきました。

それから赤ずきんは、大きな石をいくつも持ってきて、狼のお腹へ詰め込みました。

狼は目を覚ますと、すぐに逃げ出そうとします。

しかしお腹の石が重くて、ばたっと倒れて死んでしまいました。

これを見て、三人は安心しました。

かりゅうどは狼の毛皮をはぎとって、それを持ち帰りました。

おばあさんは、赤ずきんの持ってきてくれたお菓子とぶどう酒を飲んで、元気になりました。

それから赤ずきんは、お母さんに言われたのに、森の横の道に入るようなことは、もう二度としない、と考えました。

 

赤ずきんの考察

それではここから、赤ずきんの考察に入ります。

まず赤ずきんは、これを読んでいる限りかなり純粋な少女です。

狼が怖いものだということも知らなかったり、狼がおばあさんの家を聞いてきても、素直に教えてしまいます。

それに、お母さんからは寄り道しないようにと言われたのに、途中綺麗だからと、お花をつんでしまいます。

最後狼のお腹から出てきた時は、中は真っ暗だっていうことも知らなかったくらいです。

これだけ純粋だったのは、冒頭にもあったとおり、この子はずっと可愛がられて育てられたからだと考えられます。

また、赤ずきんと狼の関係性のイメージは、現代で言うと悪いおじさんと小学生くらいの女の子かなと。

小学生くらいの女の子は、悪いおじさんの前では無力で、誘拐されたり、監禁されてあんなことをされてしまいます。

赤ずきんと狼の関係も同じで、赤ずきんは狼の前では無力です。

そして、この童話で強調されているところがあって、それはあいさつです。

赤ずきんはおばあさんの家に着いた時はちゃんとあいさつをしました。

しかし、狼はおばあさんの家に入った時はあいさつをせず、

その後寝床の中で待ち伏せて赤ずきんが来た時もあいさつをしませんでした。

しかし狼は、赤ずきんと最初に会った時はあいさつをしていました。

これは、狼は礼儀がないことが読み取れますが、最初赤ずきんをだまそうとした時には、良い人ぶって近づいてきたと考えられます。

まるで、お金をだまし取る時はいい顔してたのに、だまし取った後は知らん顔する詐欺師みたいですね。

現代の悪いおじさんが、赤ずきんの狼に現れているような感じもします。

 

赤ずきんの感想

この童話でツッコみたくなったのは、狼は赤ずきんとおばあさんを丸呑みして、それで美味しいのかってことです。

丸のみしたって、普通は何も美味しくないはずですが、きっと狼はそれで美味しいんでしょうね。

また、お菓子とぶどう酒でおばあさんは元気になりましたが、

食べ物で元気になるって、どんな病気だったんだろうって気になります。

栄養失調とかでしょうかね?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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