童話「黄金の鳥」のあらすじと考察~世話が焼けるやつだなぁ

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、グリム童話より「黄金の鳥」あらすじと考察、感想までお話しています。

 

黄金の鳥のあらすじ

むかし昔、王様がありました。

王様の庭には黄金のリンゴがなる木が一本生えていたのですが、朝になると、リンゴが一つ足りません。

そこで王様は三人の王子をもっていたので、夜、この王子に見張りをつけさせました。

最初、一番上の王子が見張りをしていましたが、真夜中になると、王子は眠くて寝てしまいました。

それで次の日の朝になると、リンゴがまた一つなくなっていました。

次の日は二番目の王子が見張りをしましたが、同じようなことになって寝てしまい、リンゴも一つなくなりました。

今度は、三番目の王子が見張りをすることになりました。

ですが王様はこの王子を信用せず、兄たちよりもしくじると思われていました。

それでもこの王子が見張りをすると、夜中の十二時になって、月明かりの中一羽の鳥が飛んできました。

その鳥の羽はどこからどこまで金色で、リンゴの木に止まりました。

それからリンゴを一つ取ったタイミングで、王子は矢を射ると、鳥は逃げましたが、黄金の翼が一枚落ちてきました。

王子はその羽を拾うと、次の朝、王様のところに持っていって、自分が夜中に見たことを話しました。

それからその後の調べで、その羽一枚だけで、王国全体よりも価値があることが分かりました。

すると王様は黄金の鳥がまるごと欲しくなり、一番上の王子を旅に出させました。

一番上の王子は旅に出て、どこかの森のはずれで、狐を一匹見つけました。

鉄砲で狙いをつけると、

「わたしを射ってはいけません。いいことを教えましょう。

あなたは今晩、ある村に着きます。その村には宿屋が二軒あるのですが、にぎやかな方に泊まってはいけません。見かけは下等でももう一軒のほうに入るのです。」

王子はあきれて鉄砲をうちましたが、弾は当たらず狐は逃げていきました。

王子は日が暮れてからその村に入りますが、にぎやかな宿に泊まります。

ですが飲めや歌えで楽しい日を送るうち、鳥のこともお父様のことも全て忘れて遊んでいました。

しばらく経ち、一番上の王子が戻ってこないので、二番目の王子も黄金の鳥を探しに出ました。

が、お兄さんと同じことになりました。

それからまたしばらく経ち、末の弟が旅に出ると言い出しました。

すると王様は、

「骨折り損だよ。あの子は、なにかひどい目にあおうものなら、途方にくれるばかりだ。

あの子は、肝心なところが抜けてるからのう。」

けれども王子がうるさく言うので、王様はこの王子も度に出させました。

 

森の入口には、また例の狐がいて、末の王子に命乞いをして、入れ知恵をしました。

この王子は優しい人だったので、この狐に手を出しませんでした。

するとこの狐は、末の王子を村まで乗せて走ってくれました。

それから宿の二軒ある村へ着くと、迷わず下等な宿へ泊まりました。

次の朝、野原で狐が待っていて、

「これからあなたのしなければいけないことを言います。

ここをまっすぐ行くと、お城に着きます。

お城の前には兵隊がいますが、みんなぐうぐう寝ています。

お城に入って、一番おしまいの部屋には、黄金の鳥が木のかごに入ってぶら下がっています。

そのかごの隣に、空っぽの金のかごがありますが、決してその鳥を入れ替えてはいけません。

そんなことをしたら、とんだ目にあいますよ。」

そう言って、狐は末の王子を乗せて走りました。

城に着くと、なにもかも狐の言ったとおりでした。

王子が黄金の鳥の部屋にくると、黄金の鳥は木のかごに入っていましたし、黄金の空のかごも隣にかかっています。

そして金のリンゴも3つ、お部屋に転がっていました。

これを見ると、王子はこの木のかごではもったいないと思い、黄金の鳥を黄金のかごに移し替えます。

そのとたん、黄金の鳥は大きな鳴き声を上げ、城中の人を呼び寄せ、王子はろうやに入れられてしまいました。

そして王子は死刑になることになりました。

ですがもしも王子が、風よりも速く走る黄金の馬を連れてきたら、王子の命を許した上、黄金の鳥もやろうと言われます。

王子は旅に出ましたが、ため息をついて、しょげかえっていました。

そこへあの狐がやってきて、

「それごらんなさい。私の言うことを聞かないから、こんなことになるんですよ。

ですがどうしたら黄金の馬のところに行けるか、教えてあげますよ。

この先をまっすぐ行くと、お城のところに出ます。

お城のうまやに黄金の馬はいて、うまやの前には見張りがいますが、みんな寝ています。

寝ている隙に黄金の馬は連れて行けるのですが、一つだけ注意してください。

鞍は木と革の粗末なものを置くのです。そばに黄金の鞍が置いてありますが、これはダメですよ。」

それから狐は末の王子を乗せて走り出し、城に着くと、狐の言った通りでした。

ですがこの王子は「上等な鞍の方が似合う」と考えて、黄金の鞍を馬に置いてしまいます。

すると馬は大きな声でいななき、見張りに見つかって、牢屋に入れられてしまいました。

王子は死刑を言い渡されましたが、黄金城の美しいお姫様を連れて来れれば、命を助けたうえ、黄金の馬もやる、と言われました。

王子はすっかり陰気になって出かけましたが、またあの狐を見つけたのは、運がいい人です。

「あなたがお気の毒でならいないですから、もういっぺん救ってあげますよ。

この道を行くと、黄金城に着きます。夜がふけて、あたりが静まると、お姫様はお湯殿(飲用のお湯を沸かすところ)に行きます。

そこでお姫様に飛びついて、キスをするのです。

するとお姫様はあなたの言う通りになって、お姫様を連れ出すことができます。

ですが、連れ出す前に両親に別れを言わせてはなりませんよ。」

それから王子は狐の背に乗って、黄金城にたどり着きました。

狐に言われた通りに真夜中まで待って、お湯殿にいるお姫様にキスをします。

するとお姫様は王子について行くと言いましたが、行く前に両親に別れを言わせてほしいと言います。

最初は王子もその頼みを断りましたが、お姫様が泣いて泣き倒れたので、とうとうそれを聞いてやりました。

ですがそのせいでお城中のものが目をさまして、王子は牢屋に入れられてしまいました。

次の朝王様がやってきて、

「貴様の命はないものじゃ。じゃがな、わしの窓の前にじゃまな山があって、遠くが見えぬ。

この山を八日以内にとりのけることができれば、助けてやろう。

これが上手くいったなら、わしの娘もお前にやろう。」

王子は仕事を始め、土をほり、シャベルですくい、手を休めずやりましたが、山はやらないも同然のありさまでした。

すると七日目の晩に狐が現れて、代わりにやってくれると言いました。

次の朝、山は影も形もなくなって、王子は大喜びです。

それから、お姫様を連れて立ち去りました。

 

すると、また例の狐が出てきて、

「黄金城のお姫様には、黄金の馬がつきものです。」

「まず、黄金の馬のいるお城の王様のところへ、お姫様を連れて行きます。

すると黄金の馬をもらえるので、その馬に乗って、みんなと別れの握手をするのです。

一番おしまいに、美しいお姫様の手をつかんだら、馬の上へ引っ張り上げて、一目散に駆け出すのです。

なにしろ馬は風より速く走るので、誰も追いつけやしませんよ。」

王子はその通りにやって、何もかもうまくいきました。

狐は、

「今度は黄金の鳥です。

鳥のいるお城へ着いたら、黄金の馬でお城の庭に乗り込むのです。

それを見ると、あなたのところへ黄金の鳥を持って出てきます。

そのかごを持ったら、すぐに駆け戻って来てください。」

今度も上手くいきました。王子がいろんな宝物を持って国に帰ろうとすると、狐が、

「さあ、今度はわたくしに、お手伝いをしたお礼をください。」

「わたしがあの森に入ったら、わたしを射ち殺して、わたしの首と四足をちょん切ってください。」

すると王子は、

「これはとんでもない恩返しだ。そんなことはできない。」

「なら、私はお別れするしかない。ですがもう一つ、ためになることをお話します。

絞首架の肉を買ってはいけません。それから、井戸のふちに腰かけてはいけませんよ。」

 

王子はこれを不思議に思いましたが、しばらく歩いて、王子のお兄さん二人がまだいる村へ戻ってきました。

ですがお兄さん2人が罪人になり、絞首架にいるではありませんか。

兄さんたちはあらゆる悪事をしたうえ、お金も全て失くしてしまっていたのです。

末の王子は、放免にならないか聞いてみると、

「あんたが、こいつらの身代金を出せばいいのですが。」

そこで王子は深く考えず、二人を買い取ることにしました。

それから兄弟三人連れだって旅を続けました。

それから最初の森へ来ると、お兄さん二人は、

「この井戸のそばで少し休もうじゃないか」と言います。

末の王子もそれに賛成して、うっかり井戸のふちへ座りました。

このとたん、兄2人は弟を井戸の中へ押し倒し、お姫様と馬と鳥を奪って、お父様のところへ帰りました。

「このとおり、私共は、黄金の鳥を持って参ったばかりでなく、黄金の馬と黄金城のお姫様までうばって参りました。」

これを聞くと、みんな大喜びです。

ですが、馬は何も食べず、鳥はぴよぴよとも鳴かず、お姫様は座って泣いてばかりいました。

一方末の王子はというと、井戸の中で生きていました。

そこへ狐が飛び降りてきて、この人を叱ると、井戸の外へ出してやりました。

森のまわりには番兵がいて、王子を見つけたら殺すように言われていました。

ちょうど、みすぼらしい男が一人見えたので、王子はその人と着物を取り替えっこしました。

それから王様のところに着くと、誰もこれが王子だとは思わなかったのですが、

鳥はピヨピヨ鳴き始め、馬は葉っぱを食べ始め、お姫様は泣くのをやめました。

それからお姫様は、兄王子たちから口止めされていて話せなかったのですが、ここであったことを全て王様に話しました。

末の王子はボロボロの服を着ていましたが、お姫様はすぐに王子と分かり飛びつきます。

そして極悪な兄たちは捕まえられておしおきになり、末の王子はお姫様と結婚して、王様の跡取りになりました。

ところで、例の狐です。だいぶ経ったころ、王子があの森へ行くと、狐が出てきて、

「あなたは望むものは手に入りましたが、私の不幸は終わりません。

どうぞ私を射ち殺して、頭と四足を切ってください。」

ここで王子はその通りにすると、狐は人間になっていました。

この人はお姫様のお兄さんで、この時やっと、かかっていた魔法から救い出されましたのです。

 

黄金の鳥の考察

それでは、ここからこの童話の考察に入ります。

あらすじが少し長くなってしまいましたが、この童話はそれだけボリュームのある童話だということですね。

まず、この物語では三人の王子がいて、上2人は上手くいかず、末っ子の王子が黄金の鳥を手に入れました。

しかも末っ子は一番出来の悪い子だったんですよね。でも、一番優しい子でした。

その優しさは、最初の森で狐を助けたこと、最後城に帰る途中の村で兄2人を助けたことからよく分かります。

では、なぜこの童話ではそういう設定になっているか。

まず童話では、三人以上の兄弟の末っ子は、普通は一番の甘えん坊で、一番純粋な心を持っているものです。

その純粋さゆえに、読者からすると、読んでいて応援したくなるものです。

さらに、そんな末っ子の王子の助力者として、狐が現れましたね。

この狐は本当に手を焼いてくれましたが、この狐もそんな純粋さにひかれたと考えられます。

そして、この童話も、助力者である狐のおかげで、末っ子の王子は何もかもうまくいきました。

ですが、本人の力ではどうにもならないことばかりでした。

例えば黄金の馬や黄金城のお姫様の場所なんて分からなかったですし、山をかたづけられたのも、本人の力ではどうにもならなかったことです。

グリム童話では主人公が途方に暮れて、どうにもならないところで助力者が出てくるのは、よくあるパターンです。

そして話の最後では、この狐は首と4つの足を切ってもらい、ここで魔法が解けます。

なぜこの方法で魔法が解けるかですが、善良な人によって体をバラバラにしてもらえば、魔法が解けるようになっていたと考えられます。

魔法を解くため、身体がバラバラになるほどの強烈な力を必要とされていたのでしょう。

そしてこれを善良な人がやる、ということもポイントなはずです。

 

黄金の鳥の感想

この童話では、主人公の王子が、何度も狐の忠告を軽視してしまいます。

黄金の鳥のとき、黄金の馬のとき、お姫様を連れ出すとき、兄2人を助けたとき、井戸のふちに腰かけたとき。

何度も過ちを犯してしまうのですが、読んでいると本当に憎めないキャラですよね。

そのせいでどんどん、自分が大変な目にあってしまいますが、狐も随分とお世話を焼いてくれます。

飽きもせずに何度も王子を助けてくれるのは、本当にお母さんみたいですね。

そして兄2人は、助けてもらったのに弟を殺そうとして手柄を奪ったのは、本当に汚い奴です。

現実世界にもこういう奴がいますので、気をつけてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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