童話「がたがたの竹馬こぞう」のあらすじと考察~間抜けすぎた一寸法師

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここではグリム童話より、「がたがたの竹馬こぞう」(KHM55)のあらすじと考察、そしてこの童話の感想もお話していきますね。

 

がたがたの竹馬こぞうのあらすじ

むかし昔、あるところに粉ひきがありました。

この粉ひきは貧乏でしたが、美しい娘が一人いました。

この粉ひきが王様と話すときがあって、威張りたくなってしまい、

「わたくしには娘が一人いますが、この娘は藁(わら)をつむいで黄金(きん)にいたすことができます」

と言うと、王様は

「それはたくみな業だのう、その娘が、おまえの申す通りなら、明日、わしの城に連れてまいれ。」

と言いました。

娘は藁のいっぱい入っている部屋に入れられ、紡車(いとぐるま)と糸わくを渡され、

「さあ、仕事にとりかかれ。明日の朝までに藁をつむいで黄金にしなければ、お前は死ぬのだぞ。」

と言われました。

かわいそうに、娘は部屋の中でぽつんと座ったまま、途方にくれました。

藁をつむいで黄金にするなんて、どうしたらいいか全くわかりません。

とうとうしくしく泣き出したとき、いきなり戸が開いて、小さな小さな男の人が一人入ってきました。

この一寸法師が声をかけると、女の子は自分の置かれた立場を話し、どうしたらいいか全くわからないと言いました。

すると一寸法師が、

「お前、おいらになにくれる?おいらがお前の代わりに黄金を紡ったらさ。」

すると女の子が、

「あたしの首飾り」

と言うと、この一寸法師が朝まで続け、糸巻には、黄金の糸がいっぱい巻き付けられました。

朝になると王様がやってきて、この黄金の糸を見ると、きもをつぶして大喜びでした。

ですが王様は、もっと黄金が欲しくなり、娘を昨日のよりずっと大きな藁の入っている部屋に連れて行き、

ここでもまた、命が惜しければ、明日の朝までに紡げと言いました。

王様が出ていき、女の子がめそめそ泣いていると、また一寸法師がやってきて、

「お前、おいらになにくれる?お前の代わりに黄金を紡ったらさ。」

と言うと女の子は、

「あたしの指輪」

と言いました。

すると一寸法師は指輪をもらって、次の日の朝までに藁を黄金にしました。

でも王様は喜んだものの、これでもまだ満足できず、藁の詰まっている、もっともっと大きな部屋に入れました。

「これを今夜中に紡いでしまうのだ。それができれば、お前をわしの妻にしてやる。」

その後その部屋で女の子が一人ぼっちになると、一寸法師がまたやってきて、

「お前、おいらになにくれる?お前の代わりにおいらが紡いでやったら。」

と言うと、女の子は、

「あげられるものは、もうなんにもないのよ。」

と言うしかなかったです。すると、

「では、お前が王様のお妃になったら、その一番初めの子供をくれると約束して。」

粉ひきの娘は、そんなこと、どうなるか分からないと考えましたし、目の前の難題から逃れるにはそれしかないと思い、

一寸法師の望むことを約束しました。

一寸法師はわらを黄金に紡いで、粉ひきの娘は王様と結婚式を挙げました。

これで、粉ひきの娘は王様のお妃になりました。

 

一年経って、お妃は美しい子供を産みました。

ですが、一寸法師のことはもう忘れていました。

そこへ一寸法師がつかつかと部屋に入ってきて、

「さあ、約束したものをおいらにおくれ。」

と言いました。

お妃はぎょっとして、子供をとらずにいてくれるなら、国中の宝物をみんなあげると言いました。

けれども一寸法師は、

「だめだよ、おいらは宝物なんかより、生きてる方好きなんだ。」

と言うのです。

お妃は悲しんでおいおい泣き出したので、一寸法師も情けが出てきて、

「三日だけ待ってやろう。もしその間においらの名前が分かったら、子供を取らずにおいてやろう。」

と言いました。

それからお妃は、今まで聞いた名前を夜通しかけて思い出し、お国中を回って、他の名前があったら言うように言いつけて、それから、使いの者も一人出しました。

次の朝一寸法師が来た時に、お妃は、カスパールかい、メルヒオールかい、バルツェルかい、と言い出し、自分の知ってる名前を並べてみました。

でも一寸法師は、どれを聞いても

「おいら、そんな名前じゃないよ。」

と言うばかりでした。

2日目には、国中の人から聞いた名前を並べて、その中にはへんてこな名前もありましたが、ダメでした。

3日目には、使いの者が戻ってきて、

新しい名前は見つからなかったが、ある高い山のふもとのさみしいところに小さな家が一軒あって、

家の前の焚火の周りを、おかしな一寸法師が飛び跳ねながら、

「今日はパン焼き、明日はとうじ(酒つくり)、明後日は引っつらう妃の小わっぱ(子供)、

やんれうれしや、おれの名が、がたがたの竹馬こぞうというのを誰も知り申さぬ。」

とわめいていたと言うのです。

お妃はこのことを聞いて、どんなに嬉しかったことでしょう。

そこへ一寸法師がやってきて、

「どうしたい、お妃さん、おいらの名前はなんていうの?」

お妃は初め、

「クンツっていうの?」

「ちがう」

「ハインツっての?」

「ちがう」

「ルンペルシティルツヒェン(がたがたの竹馬こぞう)とでもいうのかねぇ。」

そう言うと、

「悪魔のやろう、教えやがったな、悪魔のやろう、教えやがったな。」

とわめきながら一寸法師は、腹立ちまぎれに地べたをどんと踏んで体を半分地面にうずめ、気ちがいのようになると、

自分の体を自分で、真っ二つに引き裂いてしまいました。

 

がたがたの竹馬こぞうの考察

それではここから、この童話の考察に入っていきますね。

まず、ここで出てきた一寸法師(がたがたの竹馬こぞう)は、人間というより魔物に近いです。

そして地下に住む魔物は、自分の名前を人間に知られることを嫌います。

ここに出てくる一寸法師は、コーボルトという名で知られる妖魔と考えられます。

この妖魔は、人間の仕事を手伝う小人ですが、巨人相手でも、自分の名前を当てることを条件に、手伝います。

ですが名前を当てられないと、この物語のように子供を取られるなど、恐ろしいことになります。

しかし名前を当てられてしまうと、この小人の魔力は消えてしまうと言われています。

この童話で、最後に自分の体を自ら真っ二つに引き裂いたのは、

自分が何の魔力もないただの小人になってしまうのが耐えられないと思ったからと考えられます。

また、子供をどうしてもよこせと言った時にお妃が泣き出してしまうと、3日だけ情けをかけました。

これには、自分の名前を当てられるはずがないと自信があったからだと考えられます。

ですが、誰も聞いてないと思って自分の口から名前を言ってしまうのは、余裕をぶっこきすぎでしたね。

 

がたがたの竹馬こぞうの感想

この童話も、グリム童話の中でもかなり印象に残っている童話の一つです。

なぜなら、地下の魔物の一寸法師を出し抜いた結末がとても面白かったからです。

一寸法師は子供をさらったら食べてしまうつもりだったのですが、小さくてもやっぱりこういうところは魔物ですね。

また粉ひきは、自分の娘は金の糸を紡げるという嘘をついてしまいましたが、

これがきっかけで主人公の女の子は大変な目にあいましたね。

自分は貧乏だったから、ついつい大きく見せたいと思ってしまったのでしょうが、これはちょっと情けないですよね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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