こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「六羽の白鳥」(KHM49)のあらすじと考察、感想までお話しています。
六羽の白鳥のあらすじ
むかし昔、どこやらの王様が、森で狩りをしていました。
王様はえものを追って森の奥へ行き、ごけらいとはぐれて迷い込んでしまいました。
出口を探しても全然見つからないその時、魔法を使う婆さんがやってきました。
「おばあさん、私に、この森を通り抜ける道を教えてくれませんか。」
「そんなことはなんでもございませんが、一つ約束してください。
その約束をしないと、この森からはいつまでも出れませんし、このまま餓死するでしょう。」
「それは、どんな約束かの。」
「わたくしには、娘が一人ございます。この娘は、王様が会ったことないような美人。
これをお妃にするなら、この森から抜け出す道をお教えします。」
王様は、森で迷ってしまい心配だったので、それを承知しました。
するとばあさんは、自分の娘を紹介しました。
たしかにその娘は美しいのですが、王様は気に入らず、その娘を見ると、王様はぞうっとするのです。
王様がその娘を自分と一緒に馬に乗せてから、ばあさんは道を教えました。その後、お城で結婚式を挙げました。
王様は、以前お妃をお持ちになったことがあり、男の子が6人、女の子が1人いて、この7人を誰よりもかわいがっていました。
ところが継母がくると、この子供たちをかわいがらないし、どうかされそうだったので、
王様は、森の真ん中にぽつんと立っているお城へ子供たちを移しました。
この城は分かりづらいところにあって、不思議な糸玉を使って道しるべにしないと行けないのです。
王様はちょいちょい子供に会いに出かけるのですが、お妃は王様の行動を知りたくてしょうがないのです。
そこでお妃は、ご家来たちにお金を渡し、内緒のことを聞きだしました。
それからお妃は小さなじゅばん(下着)を何枚もこしらえ、母親からならった魔力を縫い込んでおきました。
あるとき、王様が狩りにでかけた隙に、お妃はじゅばんと糸玉を持って森に入ります。
糸玉はお妃に道を教えました。
子どもたちは、遠くから誰かが来るのを見て、お父様が来たのだと思って大喜びで飛び出してきました。
するとお妃はじゅばんを1枚ずつ投げかけます。
子供たちはそれに触れると白鳥に化けて、森を越えてどこかへ行ってしまいました。
お妃はうちへ帰りました。これで邪魔者がいなくなったと思ったからです。
ところが女の子だけはお妃のところに出てこなかったので、一人でお城にいました。
次の日、王様はこのお城に来ました。
「お兄ちゃんたちは、どこ?」
「あのね、お兄ちゃんたち、どこかへ行っちゃったの。あたしだけおいてけぼりで。」
お姫様は、お兄さんたちが白鳥になって空を飛んで行ってしまったことを話しました。
王様は悲しみましたが、お妃がこんなことをしたとは思わないので、一緒に連れ帰ろうとしました。
けれどもお姫様は、もう一晩だけここにいると言いました。
王様が帰って、日が暮れた後、女の子はお城を飛び出して、お兄さんたちを探しに、森の奥へと入りました。
夜通し歩いて次の日も歩き続けて疲れ切った頃、床の高い小屋が一軒見えました。
家の中へ入ってみると、小さな寝台の6つ置いてある部屋がありましたが、
お姫様は寝床に入るようなことはせず、一つの寝台の下に入りました。
すると日が沈むころ、ばさばさと6羽の白鳥が窓から入ってきました。
白鳥が床に降りると、お兄様がたの姿になり、お姫様は嬉しくなって出てきました。
妹の姿を見てお兄様がたは喜びましたが、それはほんの少しの喜びで、
「ここは、お前のいるところじゃない。ここは強盗どもの隠れ家で、連中がお前を見つけようものなら、お前を殺してしまうよ。」
「お兄様がた、あたしをかばってくれないの?」
「だめだよ。僕たちが白鳥の皮を脱いでいられるのは、毎晩十五分だけなのさ。」
妹は泣きながら、
「お兄様がた、救われないの?」
「それがね、ダメなのさ。なにしろ、難しいことがあるんだもの。お前は、六年の間、口をきいてはいけない。笑ってもいけない。
その間に、えぞ菊の花を縫い合わせて、僕たちのじゅばんを縫わなきゃいけない。
たった一言でもしゃべれば、それまでの仕事は、みんな無駄になっちゃう。」
それだけ言うと、十五分経ったので、お兄様がたは白鳥になって飛び出していきました。
お姫様は、たとえ自分の命がなくなろうとお兄様たちを救うと決心して、
木の上に座って、じゅばんを縫い始めました。
だいぶ長いこと経ってから、ある国の王様が、狩りをしている時にここまでやってきました。
狩人たちはお姫様に、
「なにものだ、お前は。」
「おりておいでよ、おれたちのところへ。」
お姫様は頭を横に振るだけです。
しかし狩人はいつまでも聞いてくるので、これで我慢してもらおうと思い、自分の金の首飾りを落としました。
さらに帯、くつしたどめと投げ、身体につけているものを何でも投げ落としました。
残っているのはじゅばんだけになりましたが、
狩人たちは退かず、木に登ってきて、お姫様を抱き下ろして王様のところに連れて行きました。
王様は、
「お前は何者か、木の上で何をいたしておる?」
王様は言葉を変えて尋ねましたが、お姫様は黙っていました。
それでも、このお姫様は大変美しかったので、自分の前に馬へ乗せて、お城へ連れて帰りました。
お城へ帰ると、お姫様に立派な衣裳を着せます。
お姫様は生まれつき美しいので、白昼のように輝きましたが、一言も口をききませんでした。
王様はすっかりお気に召して、お姫様と結婚しました。
ところがこの王様の母親は悪魔のような人で、この結婚を面白く思わず、
「こんな口もきけない娘、どこの馬の骨だけわかったもんじゃない。どうせ王様につり合うようなものではないよ。」
これが母親の言いぐさでした。
一年経って、お妃が子供を産むと、ばあさまはそれを奪って、お妃の口へ血を塗りました。
こうして、お妃は人間を食べるとありもしないことを言います。
ですが王様はそれを気にせず、お妃はずっとじゅばんを縫っているばかりでした。
その次にお妃が男の子を産むと、悪者の姑はまた同じ悪さをしました。
けれども王様はそんなことは本気にせず、
「妃は信心深い善良な女で、さようなことをいたすようなことはありません。
あれが自分で言うことになれば、無実の罪が明らかになることでしょう。」
けれども、三度目の子どもが生まれて、このばあさんが奪った時、お妃に罪を問いただした時は、
やっぱり一言も口をきかないので、王様はどうすることもできず、お妃を裁判にかけました。
そしてお妃は火あぶりの刑にされることになりました。
いよいよその刑が執行される日になりましたが、この日はお妃が口をきけない6年の最後の日でもありました。
そして約束の6枚のじゅばんは、一番おしまいの左の袖がついてないだけで、あとは出来上がっていました。
いよいよ火あぶりの刑にされる場所に連れ出されるとき、お妃は、このじゅばんを腕にかけました。
それから、いざ火がかけられるというとき、六羽の白鳥がやってきて、地面に降り立ったのです。
お妃は嬉しさに心が躍り、白鳥たちの体へじゅばんを投げかけました。
すると白鳥の皮は脱げ落ちて、お兄様がたは元の姿に戻っていました。
ただ、一番下のお兄様だけは、左の腕が翼になっていました。
お妃は王様にお話をはじめ、
「殿さま、わたくしもいよいよ口をきけることになりました。私には何の罪もなく、無実を申し上げることができるようになりました。」
そして、ばあさまが子供三人を奪い取り、どこかに隠して王様を騙したことを話しました。
そこへ子供たちが連れてこられたので、王様は大変喜びました。
そして悪魔のような姑は火あぶりになり、王様とお妃さまは、六人のお兄様がたと一緒に、仲良く暮らしました。
六羽の白鳥の考察
それではここから、この童話の考察に入ります。
さて、この物語の主人公を決めるとすれば、末っ子のお姫様になりますが、
このお姫様には何度も困難が立ちはだかります。
最初は意地悪な継母、続いて6年間の沈黙、その次に悪魔のような姑、そして最後に火あぶりの刑です。
これはお姫様にとっては波乱続きで忙しい展開ですが、この試練を乗り越えて、
最初は子供だったお姫様はとんでもなく成長していると考えられます。
最初に出てきた継母は姿を消し、そののちに悪人の姑が出てきますが、この2人は役目は一緒で、
主人公のお姫様を苦しめます。さらに、王様の次に偉いということで、立場も似ています。
そして最後は、その試練を乗り越えて幸せを手に入れているので、
本人にとっては大変ですが、読み手は読んでいて引き込まれるのではないでしょうか。
また、お姫様と結婚した王様は、実は自分の母親のことが好きではなかったのでは、と考えられます。
なぜなら、自分の母親は「お妃は人間を食う」ということを本当にしなかったのに対し、
お妃が「姑が悪さをした」と言った時は、3人の子供が出てきたといえすぐに信じて、
しかも実の母親を火あぶりの刑にしているからです。
そしてお姫様はじゅばんを完成しきれず、最後のじゅばんは左袖ができていませんでした。
その結果、一番下のお兄さんは左手が翼でした。
これは、じゅばんの出来具合とお兄さんたちがつながっていることを示すために、
わざとこういう設定にしたと考えられます。
六羽の白鳥の感想
この童話は、お姫様が6年間口をきかないし、笑わないという約束を守りました。
ですがそれを頑張る上で、あと一歩で火あぶりの刑にされるところまで来てしまいました。
これは読んでいてハラハラすると同時に、お姫様の意思の固さはなかなか真似できないよなって感じました。
ですが現実世界でも、そういった厳しい掟を自分に定めると、得られるものも大きいなーと改めて感じました。
(例えば受験中の1年は一切遊ばないとか、ダイエット中は一切決まった量以上食べないとか)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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