こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、アンデルセン童話より、「はだかの王さま」のあらすじと考察、感想までお話しています。
はだかの王さまのあらすじ
昔、たいへん着物の好きな王様がいました。
この方は美しい着物が好きで、たくさんの着物を持ち、いつもきれいに着飾っていました。
そして一時間ごとに、着物を着替えるのです。
さてある日のこと、二人のいかさま師がこの町にやってきました。
二人ははた織り職人だと言って、自分たちは信じられないほど美しい着物を織ることができる、
そしてそれは不思議な性質を持っていて、自分の地位にふさわしくないひとや、ばか者には着物が見えない、と言いました。
王様は、
「そういう着物をわしが着たら、この国の、誰がその地位にふさわしくないか知ることができるぞ。
また、だれが利口なのかばかなのか、区別できる。早速着物を織らせよう。」
そして二人のいかさま師にたくさんお金を渡し、早速仕事にとりかからせました。
さて、二人は機織り機の前で、いかにも働いているようなふりをしました。
けれども、その上には何もないのです。
二人は、一番上等の絹糸と、一番立派な黄金をくださいと言いました。
そしてそれを自分たちの財布の中にしまうと、からの機織り機の前で、夜まで働いていました。
「もうどれくらいできただろうか。」
王様はそう考えました。
けれど、自分の地位にふさわしくないものには見えない、ということを思い出します。
自分には見えると信じていましたが、まず他の人に見させようと考えました。
それから、自分の側近がばか者でないか、とても気になりました。
そこで、
「そうじゃ、あの正直者の大臣を行かせよう。
あれなら、織物を見てくるだろう。知恵もあるし、地位にふさわしいからな。」
さて大臣は、何もない機織り機の前で働いているいかさま師のところに行きました。
大臣は、
「え!何も見えないぞ。」
口には出さず、そう思いました。
二人のいかさま師は、柄もよく、色も美しくはございませんか、などと、からの機織り機を指さして言いました。
大臣はやっぱり何も見えないので、
「これは大変だ、わしはばかなのだろうか。誰にも知られてはならん。
わしは大臣にふさわしくないのだろうか。織物が見えないだなんて、口に出さないようにせねば。」
と考えました。
「いかがでしょうか、この織物は。」
いかさま師がそう言うと、大臣は、
「おお、全く見事なものじゃ!この柄といい、この色といい、大変気に入ったことを、王様に申し上げるとしよう。」
「それはそれは、かたじけないでございます。」
二人のいかさま師は、色や、柄の説明をしました。
そして大臣は王様の前で同じように言えるよう、説明を注意深く聞いて、王様にそのとおり言いました。
それからいかさま師二人は、織るのに必要だからと、もっとお金と絹糸と黄金をくださいと言いました。
それをもらうとポケットに入れ、相変わらずからの機織り機の前で働きました。
王様は今度は、別の良い地位の役人をつかわしました。
この役人も、大臣の時と同じように、何も見ることができません。
「いかがですか、良い布地ではありませんか。」
いかさま師は、ありもしない着物を指さして言いました。
お役人は、
「まさかわしがばかなんてことは。
見えないとなると、この地位にふさわしくないということか。
これは、人に気づかれないようにせんと。」
そこでこの役人は、この色といい、柄といい、たいへん気に入ったと言いました。
それから王様には、この上ない、見事なものでございます、と言いました。
この頃、町にこの素晴らしい着物のうわさが広まりました。
そしていよいよ王様も、この着物が見たくなりました。
そこで、前につかわした二人の役人と、おともを大勢連れて、二人のいかさま師のところに行きました。
「陛下、なんと素晴らしいものではございませんか。」
二人の役人は言いました。
「良い柄、良い色合い、とくとご覧くださいませ。」
こう言って、からの機織り機を指さしました。
なぜなら、他の人には見えるに違いないと思っていたからです。
王様は心の中で、
「どうしたことだろうか。わしには何も見えんぞ。
わしはばかなのか、それとも、王様にふさわしくないのだろうか。
わしにとって、こんなに恐ろしいことはないぞ。」
そう思いました。
「なるほど、見事なものじゃのう。」
王様は大きい声で言いました。
みんなも王様の真似をして、見えない着物をほめました。
するといかさま師二人は、この素晴らしい着物を着て、今度の行幸に出るように勧めました。
行幸の前の日には、いかさま師は働いているふりをして、
「さあ、着物ができました。」
と言いました。
王様が来ると、いかさま師は何かをかかげるかのように腕を上げて、
「ご覧ください。これがおズボンで、こちらが上着でございます。そしてこれが外套です。
この着物は、クモの巣のように軽いでございます。
何もつけてないかのようにお思いになるでしょうが、それがこの着物の値打ちなのです。」
「なるほど!」
けれど、何も見ることはできません。もともと何もないのですから。
「陛下、着物をお脱ぎください。我々が鏡の前で、この着物をお着せしましょう。」
王様は着物を脱ぐと、いかさま師たちは、できあがった着物を着せるふりをしました。
それから、裳裾(もすそ)のつもりで、腰のまわりで何かを結ぶふりをしました。
「本当に立派で、よくお似合いですよ。
この柄、この色合い、素晴らしい着物でございます。」
皆のものが言いました。
「わしも支度ができたぞ。どうじゃ、似合うかの?」
王様はそう言って、鏡を見ました。
なぜなら、自分の服装をながめるふりをしなくてはいけなかったからです。
裳裾をささげる役の家来は、両手を床の方へのばして、それを持つふりをしました。
自分は何も見えないことを気づかれないように。
こうして、王様が歩くと、町の人は、
「これはこれは、今度の王様の着物は、なんて素晴らしいのでしょう。裳裾のきれいなこと、本当によくお似合いですわ。」
誰もが、自分には着物が見えないということを気づかれないようにしていました。
そして、王様の着物の中で、これほど評判のよかったのは初めてでした。
「だけど、何にも着てないじゃないの!」
その時、小さな子供が言いました。
「こりゃ驚いた、無邪気な子の言葉を聞いてやってくれ。」
その子の父親が言いました。
それから子供の言った言葉が伝わっていくと、
「なんにも着ていらっしゃらない!」
とうとう一人残らずそう叫びました。
王様は困りました。みんなの言っていることが本当に思えたからです。
けれども今さら引き下がれないと考えて、より胸をはって歩いていきます。
そして家来たちがあとからありもしない裳裾を持って進みましたとさ。
はだかの王様の考察
それではここから、この童話の考察に入ります。
はだかの王様は、まんまといかさま師に騙されました。
なぜ騙されたかというと、もちろん見栄があったからです。
しかし騙された理由はそれだけではありません。
王様自身、どうしても素晴らしい着物が欲しかったがゆえに、盲目になってしまったことも考えられます。
実際にこの王様は、一時間に一回着替えるほど、洋服に執着しています。
それゆえ、「素晴らしい着物が本当はないなんて信じたくない」という欲求が働いたと考えられます。
それから、王様自身にも自信のなさがうかがえました。
なぜなら、王様は着物に執着していたからです。
剣や鎧に執着しいつも身につけているとしたら、それは権力の象徴ですが、王様が執着していたのは、洋服です。
洋服は身をまとうもので、まるで本当の弱い自分を隠すために、洋服に執着していたようにも考えられます。
あと、最初は自分でいかさま師の着物を見に行かず、大臣、役人に見に行かせたことから、
自分に自信がないことは明らかです。
自分に自信があれば、「着物なんてないじゃないか」と言えたはずです。
自分に自信がないから、「本当は自分は王様にふさわしくないんじゃないか」と考えてしまい、騙されたのでしょう。
また王様だけでなく、家来たちも着物が見えるふりをしていたのは、現代社会でも保身に走る役人そのものですよね。
いかさま師は、言ってみれば詐欺師特有の心理操作をしていました。
いかさま師のテクニックとしては、相手のプライドを利用して、持ち上げるところは持ち上げて、劣等感を隠すような言葉をかけました。
そして最後まで、いかさま師の思うつぼでしたね。
最後は子供の言葉でみんなが嘘を暴きましたが、王様は騙されていることを認められないところまで来てしまっては、いかさま師の勝ちです。
この時、純粋な子供の言葉だから受け入れられて、大人が「はだかだ」と言っても、受け入れられなかったと考えられます。
そういう意味で、いつの時代も純粋な子供から教えられることは多いってことが、この童話の言いたいことの一つです。
はだかの王様の感想
この童話は有名な話ですが、笑える話でした。
人って一度詐欺師の心理操作にはまってしまうと、どんどん抜けられなくなって、落ちてしまうものだなと考えさせられました。
いかさま師も話がうまいですよね。
人の痛いところをついて、お金をだまし取るなんて。
王様の家来のうち、誰か一人でもいかさま師の嘘を指摘すれば良かったのですが、
なんせみんなが「見える見える」と嘘をついてしまっていたので、誰も手出しが出来なくなってしまったのでしょうね。
集団の心理も利用し、いかさま師が一枚上手で、そこが面白かったですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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