こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「狐と馬」(KHM132)のあらすじと考察、感想までお話しています。
狐と馬のあらすじ
どこやらのお百姓が、陰ひなたなく働いてくれる馬を一頭持っていましたが、この馬は老いぼれてしまいました。
すると百姓は、
「お前はもう使えない。だが好意は持っている。
お前が、今でもライオンをここへ連れてくるくらいの力があれば、わしはお前を飼っておこう。
だが、今はうまやから立ち退いてくれ。」
馬は追い出されると、しおしおと森へ行きました。
ここで出くわしたのは(物語でおなじみの)例の狐で、
「お前、なんでそんなしょんぼりしてるんだい?」
「いやもう、話にならん。吾輩の主人は、こっちが長年仕事をしてやったのに、それを忘れて、
今さら吾輩が仕事ができなくなると、食うものもくれず、吾輩を追い出したのだ。」
「優しい言葉一つかけずにかい?」
「その言いぐさがいいや。吾輩が、今でも主人のところへライオンを連れてくるくらいの力があれば、
吾輩を置いてくれるのだが、そんなことができないのは、やっこさん、百も承知なのさ。」
狐は、
「それなら、あたしがなんとかしてあげる。
お前、ここに転がって、四肢をのばして、まるで死んでいるようにしてるんだよ。」
馬はその通りにしました。狐は洞穴の中にいるライオンのところに行って、
「外に、死んだ馬が転がってますよ。出ていらっしゃい。」
ライオンと狐は、馬のところまで来ました。すると、
「ここではお気楽に召し上がれません。
いかがです、あたしがこの馬を、尻尾であなたのお身体へしばりつけます。
そうすればあなたは、こいつをお住まいの洞穴まで引きずり込んで、落ち着いて召し上がれますね。」
ライオンは、それがうまい考えだと思い、立ったまま待っていました。
ところが狐は、馬のしっぽでライオンの足をグルグル巻きにして、離れないように結びました。
それが終わると、狐は馬の肩をぽん、と叩いて、
「それ行け、白馬(しろ)、それ行け」
と言ったものです。
そうすると馬は、ライオンをひきずって走って行きました。
ライオンは吠え出しました。
すると森じゅうの鳥たちが怖くなって飛び立ちました。
ですが馬はそんなのはおかまいなしに、野原を越えて、ずるずると自分の主人の家までライオンをひきずって行きました。
主人はこれを見て考え直して、
「お前は、わしのうちで楽をさせてあげよう。」
そして死ぬまでお腹いっぱい食べさせました。
狐と馬の考察
それでは、ここからこの童話の考察に入ります。
まず最初、主人公の馬が主人に捨てられる時、
役に立たなくなったから捨てると言いましたが、この馬のことは好きだと言っていましたね。
これには、現代人が飼っている動物に愛情を抱いているのと同じことがうかがえます。
ですが、それでも捨てようというのは、今と違って昔は貧しかったことが要因だと考えられます。
今の時代なら、ペットを捨てることはあまりないですが、これは生活に余裕があるからです。
この童話が書かれた頃は、生活に余裕がなく、働けなくなった動物を家に置いておく余裕はなかったのでしょう。
それでもライオンを引っ張ってこれるほどの力があって、まだ働ければ、話は別だ、という百姓の考えですね。
この童話の助力者は、狐です。
狐はどんな童話でも知恵があるのが常です。
なので、この童話の中でも「例の狐」という言い方をしたと考えられます。
また、狐はライオンに、自分のすみかの中なら落ち着いて食べられると言いましたが、
そもそもライオンは、住みかに食料を持っていって食べないはずです。
それなのにライオンはそうしようと思ったのは、狐は口がうまく、納得させられるくらい頭がいいと考えられます。
狐と馬の感想
この童話では、馬を飼っていた百姓は、使えなくなったら馬を捨てていましたね。
でも世の中本当にそんなもんだなって思いますね。
人間の社会でも、例えばブラック企業なんかは使えるだけ使って、働けなくなったら捨てる。
そういう中で、この馬は自分の実力を示したのですから、大したものです。
それが生き残るってことなんだなって考えさせられました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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