こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、アンデルセン童話より、「天使」のあらすじと考察、感想までお話しています。
天使のあらすじ
「よい子供が死ぬと、神様の天使がこの世に降りてきて、その子を抱えると、その子の好きだった場所に飛んでいくのです。
そして、花をたくさん摘んで、神様のところへ行くのですよ。
そうすると、その花はこの世で咲いていた時よりも、ずっときれいに花を咲かせるのです。
神様は、その花の中でも一番気に入った花にキスをします。
そうすると、その花は声が出るようになって、みんなと一緒に歌えるようになるのですよ。」
神様の天使が、一人の亡くなった子を天国へ連れながら、こう言いました。
天使は、その子が小さい頃遊んだ故郷の花園へ行って、
「さあ、どの花を摘んで行きましょうか。」
見ると、そこにはバラの木がありましたが、誰かに幹を折られて、大きなつぼみをつけた枝が、たれ下がっていました。
子供は、
「まあ、可哀そう。あれを持って行こう、神様のところで花が咲くように。」
そこで、天使はバラの花を取り、他にも花をたくさん摘みました。
そして、地味なタンポポやスミレなども、摘むのを忘れませんでした。
「花はこれでたくさんね!」
子供がそう言うと、天使は微笑みました。
まだ神様のところへは行かず、夜になると、二人は町の方へ行きました。
そして、ちょうど引っ越しの日の家の上を飛び回っていました。
そこには、壊れたお皿や、ぼろ布、古帽子など、がらくたがたくさんありました。
天使は、そのがらくたの中から、植木鉢の破片と、そこからこぼれ出た土を指さしました。
その土は、ひからびた野の花の根にこびりついていました。
きっとこれは、いらないと放り出されたものです。
天使は、
「あのみすぼらしい花も持って行きましょう。そのわけは、飛んでいく時に話しましょう。」
こうして、二人は神様のところに向かい、天使は話し出しました。
「あの横町の、ある地下室に、貧しい病気の男の子が住んでいたのです。
その子は床についたきりで、松葉づえにすがって、部屋の中を少し歩くのがやっとでした。
夏になると、この地下室にお日様が30分くらい差し込む日もあるのですが、
こんな日は、男の子は腰かけて、お日様の光を浴びるのです。
この子が、森の様子を知ったのは、隣の家の子供が、その年最初のブナの枝を持ってきた時でした。
この子は、お日様が差し、小鳥がさえずるブナの林の中にいる夢を見ました。
また、別の日には野の花を持ってきてくれましたが、その中に、根のついたままのが一本入っていました。
それを植木鉢に植えて、ベッドのそばの窓際に置くと、すくすく大きくなって、毎年花を咲かせました。
これはこの男の子にとって、ささやかな宝になりました。
男の子は水をやり、日があたるように世話をしてあげました。
この花は、美しく咲いたのも、いい匂いを出したのも、目を楽しませたのも、この男の子のためだったのです。
やがて神様はこの子をお召しになりましたが、この時もこの男の子は花の方を見ていました。
それから一年になります。
この花は一年の間、忘れられて放置され、ひからびてしまいました。
そしてお引越しの日に、とうとう投げ出されてしまったのです。
さっき私が拾ったこのひからびた花こそ、その花なのです。
この花は、女王様の庭のどのお花よりも、もっと大きな喜びを与えてくれたんです。」
子供は、
「でも、どうしてそこまで詳しく知っているの?」
天使は、
「知っていて当たり前です!
その病気の男の子というのは、実は私ですもの。これは私の花なんです。」
天使の顔は、喜びと美しさに満ち溢れていました。
その時、二人は天国に入りました。
天国の神様が死んだ子供を抱くと、その子は天使の羽が生えて、二人は手をつないで飛び回りました。
神様は全ての花を胸に当て、中でもあのひからびた野の花にはキスをしました。
すると、その花は歌えるようになり、大きい天使も小さい天使も、今羽をもらったよい子も、みんなそろって歌を歌いました。
天使の考察
それではここから、この童話の考察に入ります。
この童話で言いたかったことは、「どんな惨めなものにも、ストーリーがある」ということだと考えられます。
この童話で、惨めな立場にいたのは、子供を天国へ連れて行った天使(病気の男の子)と、ひからびて投げ出された花です。
病気の男の子は、病気で地下室からは決して出られませんでした。
しかし、野の花を植木鉢に植えてから、この男の子に素敵なストーリーが生まれました。
そしてそれは、最後は忘れられてひからびてしまった花も同じです。
どんなに惨めなものにも、人の心を動かすストーリーがあって、人間の一生も、植物の一生もそれは同じです。
そして、神様は一番気に入った花にキスをするということでしたが、
枝を折られたバラでもなく、地味なタンポポやスミレでもなく、ひからびた野の花にキスをしました。
このことから、神様は見た目の美しさなどではなく、心の美しさを重視していると考えられます。
そして、天使が天国へ連れて行ってくれるのは、よい子だけでした。
このことからも、心の美しさは重視されていると分かります。
天使の感想
この童話は、そんなに長くない童話でしたが、その短さの中に、優しさがあって、心がほんわかする話でした。
人間は、ついつい外見の美しさばかりに目が行きがちです。
だからこそ、男は恋愛対象を、かわいい、美しい女性にするんですよね。
でも、人間は中身が美しければ、いろんな場面で感謝されるのではないかと考えます。
そして、中身が美しければ天使になれるとしたら、こんな嬉しいことはないですよね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
さて、ここではマッチ売りの少女などの童話がモチーフになっている、かわいくてメルヘンチックな音楽を6曲プレゼントしています。
ブログ主が創った、童話の物語が歌詞になって展開していく、美しい声の女性ボーカルとファンタジーなメロディーが特徴の音楽です。
この童話の音楽6曲を無料で受け取るは、こちらをご覧ください。
というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
<関連記事>
・童話「ヘンゼルとグレーテル」のあらすじと考察~かわいい二人の大冒険
・童話「ある母親の物語」のあらすじと考察~母親は子供の運命を受け入れるのか
・童話「野ばら姫(眠り姫)」のあらすじと考察~聖なる女はどんな呪いをかけたか
・童話「ホレおばさん」のあらすじと考察~働かない人はどんな報酬がもらえたのか
・童話「しっかり者のすずの兵隊」のあらすじと考察~せっかく恋が実ったのに
・童話「千びき皮」のあらすじと考察~性の歪みの恐怖が姫に襲いかかる!?
・童話「蜜蜂の女王」のあらすじと考察~こんな平和な結末はめずらしい