こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。
ここでは、グリム童話より「三枚の蛇の葉」(KHM16)のあらすじと考察、感想をお話していきます。
三枚の蛇の葉のあらすじ
むかし昔、あるところに貧乏な男がありましたが、もうたった一人の息子を養えないくらい貧乏になっていました。
すると息子は、「お父さん、僕はお父さんのお荷物です。これからはなんとかして自分で生きていきます。」
それを聞くと、息子の幸せを祈って、胸のつぶれる思いで別れました。
青年はそれから、勢いのある強い国が戦をしているところに行き、この国の王様にご奉公しました。
鉄砲玉が飛び、戦友はどんどん倒れてしまい、指揮官も戦死してしまいました。
すると残ったものも逃げ出そうとしましたが、この青年が
「僕らの生まれた国を、みすみす亡ぼすのは嫌だ。」
と勇気をつけると、他の者も立ち向かって、敵をやっつけてしまいました。
王様はこの青年のおかげで勝利を得られたと聞くと、お宝をたくさんつかわした上、青年を一番偉いご家来にしました。
ところで、王様にはお姫様がありました。
お姫様は大変美しい方でしたが、もし自分が先に死んだとき、一緒に自分を生き埋めにさせると約束しない男とは結婚しない、というへんてこな方でした。
「殿様が私を心底愛していれば、私の死んだ後は命は不要でしょう。その代わり私も同じことをします。」
この約束があって、おむこさんになりたい人はみんな怖がっていました。
ですがこの青年はお姫様の美しさにみとれて、約束をのんでお姫様と結婚しました。
それからしばらくは楽しく、何不足なく暮らしていましたが、この若いお妃が病気になってしまい、医者もさじを投げ、亡くなりました。
若い王様は例の約束を思い出して、さすがに身の毛がよだちましまが、逃げる道はありません。
いよいよ屍が王家のお墓の玄室におさめられる日が来て、若い王様は一緒に連れ込まれて、お墓をふさぐ門には錠がおろされました。
この部屋の中には、あかりが4つ、パンが4つ、葡萄酒の瓶が4本あるだけでした。
食べ物をちょっとずつ食べていましたが、あるとき蛇が一匹はいだしてきて、屍のほうに行くのが見えました。
お妃に触られることが我慢できなかった若い王様は、剣を抜いて、蛇を3つに切りました。
少し経つとまた別の蛇が出てきて、青い葉を3枚持って、さきほどの蛇の傷口の上に乗せると、蛇の体がくっついて、生き返ってどこかへ行ってしまいました。
葉っぱは下に落ちたままです。
若い王様は、この不思議な葉っぱは人間にも役に立つかもしれないと思い、
死んでいるお妃の口の上に1枚、目の上に2枚乗せると、そのとたんに生き返って、
「まあ、いやだ。わたくしはどこにおりますの。」
「あなたは私のそばにいる。」
それから、これまでの成り行きを話し、門番に扉を開けてもらいました。
三枚の蛇の葉は若い王様が持って出ましたが、ご家来の1人に渡して、
「これは大切に、お前がいつも持っていておくれ。」
と言いました。
ところがお妃さまは、いっぺん死んで生き返ったら、心変わりして、夫への愛情がなくなってしまったようでした。
少したってから、若い王様は自分の父親に会いに行こうと海を渡ることにしました。
王様と舟に乗って出てからお妃さまは、船頭に情愛を持ちました。
自分がいっぺん死んで助かったのは、この王様のおかげだということを忘れてしまったのです。
それから若い王様が横になって寝ている隙に、船頭と一緒に若い王様を持ち上げて、海の中へ放り込んでしまいました。
それから船頭に向かって、
「さあ、郷国に帰ろう。王様は途中でおかくれになったと言おう。
それから私はお前をお父様にうまくとりつくろって、手柄を立てさせて、私と一緒にしてくださるようにする。
それから、お前にお父様のあとをつがせてくれるようにしてあげるよ。」
ところが、例の忠義なご家来がこれを残らず見ていたので、見つからないように親船から小舟を出し、殿様を見つけました。
殿様は死んでいましたが、三枚の蛇の葉を、両方の目と口に乗せて、生き返らせました。
それから王様とご家来は二人で一生懸命舟をこぎ、親船よりも先に、おとしよりの王様のところに着きました。
王様は二人で帰ってきたのを不思議に思い、事情を聞きました。
「娘がさようなことをしたとは信じられん。しかし、本当のことが間もなく明らかになるだろう。」
そう言って、二人を隠しました。
それからしばらくして娘が来て、
「どうして一人で戻った?殿はどこかの。」
「どうしましょう、悲しくて戻って参りましたの。殿様は、ご病気で亡くなりました。
この船頭は、まことに感心なものでございます。この者が手を貸してくれなかったら、とんだ目に遭うところでした。」
「わしが、亡くなった人を生き返らせてあげよう。」
そう言うと、殿様とご家来が出てきました。
女は夫を一目見ると、床に膝をついて、どうぞごめんくださいましとおわびをしました。
「許すことはいたさん。お前の夫は、お前と一緒に死ぬ覚悟をなされた。
そして、お前を生き返らせることもした。それなのにお前は、夫を殺害したではないか。
お前は、それ相当の報いを受けなければならない。」
これが年老いた王様の言葉でした。
お妃は船頭と一緒に、穴だらけの船に乗せられて海へ出されて、そのまま海に沈んでしまいました。
三枚の蛇の葉の考察
それでは、ここからこの童話の考察に入ります。
この童話では、最初は主人公は貧乏な男の息子ということで始まっています。
ですが戦で手柄を立てたがゆえに、家来の中で一番偉い地位になり、そこから殿様になりました。
グリム童話では、助力者のおかげでお金や地位を手に入れられる主人公はたくさんいますが、
ここでは自分の力で未来を切り開いたパターンです。
この冒頭でも貧乏な父親を見て、迷惑をかけまいと巣立ちましたが、この主人公はかなり自信があったはずです。
この童話では、お姫様の変わった約束があって、
結婚した後、もし片方が死んだら、もう片方も一緒にお墓に入るということでした。
なぜこんなことをさせるのかというと、自分が亡くなった後は命がいらないというほど愛し合っていたいからと記述がありました。
逆に殿様が先に亡くなったら自分が生きたままお墓に入ると言っていました。
が、実際にはこれは無いでしょう。いざそうなったらこのお姫様は逃げるはずです。
なぜなら命の恩人である主人公を殺してしまうほどの人です。
生き返った後に本性を見せましたが、この時点でもそういう人だったと考えられます。
また、お妃を生き返らせた三枚の葉ですが、これを持ってきたのは蛇です。
蛇は神聖な生き物として信じられてきたので、ここでも魂を呼び戻す道具を持ってくるのは非常に納得がいきますね。
そして最後、お妃と船頭は穴の開いた舟に乗せられ、海に沈むという罰を受けました。
これは殿様を海に沈めたので、それと同じ罰を与えられた、と考えていいはずです。
三枚の蛇の葉の感想
この童話の中で一番怖かったのは、お姫様の結婚の時の約束でした。
文章の中では、お姫様が先に死んだら一緒に生き埋めになるってありましたね。
生き埋めってあるので、一緒に棺に入ってそのまま土をかけられ、息ができなくて死ぬのかと思いきや、
よくよく考えてみると、お姫様は王族の人です。
なので玄室に入れられ、そこに棺が置かれて、一応部屋になっているところに閉じ込められました。
普通に考えれば死ぬことに変わりはないのですが、土をかけられるわけではないんだなーとか考えていました。
また、年寄りの王様は自分の娘に対しても、悪いことをしたら容赦ないんだ、と感じました。
普通は自分の娘なら情けをかけてしまいますが、この王様は厳しい人でしたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!
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