童話「仙女」のあらすじと考察~世の中やっぱりカネなのか!?

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、ペロー童話より、「仙女」あらすじと考察、感想までお話しています。

 

仙女のあらすじ

むかし、二人の娘を持つ母親がいました。

姉娘は性格も顔だちも母親そっくりで、姉を見ると母親を見ているようでした。

この二人は非常に不愉快で、高慢でした。

一方、妹娘は優しさといい礼儀正しさといい、死んだ父親の生き写しで、本当に美しい娘でした。

母親は自分に似ている姉娘が好きで、妹娘には食事を作らせ、ずっと働かせていました。

このかわいそうな娘のしなければならないことに、一日に二回、家から半里も離れたところへ、

大がめに水をいっぱいくんで運んでくる仕事がありました。

あるとき、娘がその泉に行くと、貧乏そうな女がやってきて、水を飲ませてくれと言いました。

「ええ、いいですよ。」

美しい娘は、その女に水を飲ませてやりました。すると、

「あなたはとても美しく、とても優しく、とても礼儀正しいので、贈り物をしなければいけませんね。

それでは、あなたが口をきくたびに、花や宝石が口から飛び出るようにしましょう。」

この貧しい女の人は、娘の礼儀正しさを試すために、貧しい女に姿を変えていた仙女だったのです。

娘が家に帰ると、母親は帰りが遅いと叱りました。

「こんなに遅くなってごめんなさい。」

娘がこの言葉を口にしたとたん、娘の口からバラの花と、真珠と、ダイヤモンドが二つずつ飛び出しました。

母親は驚いて、

「これはどうしたことなの?」

娘は正直に、泉で起こったことをすべて話しました。

そして、その間にもたくさん口からダイヤモンドが飛び出しました。

母親は、

「これは、私の娘も行かせなくっちゃ」

「ほら、ファンション、お前の妹がしゃべるたびに、口から飛び出すものを見てごらん。

泉に水を汲みに行くだけで、あの力を授かれるんだよ。

貧乏な女が水を飲ませてくれと言ったら、礼儀正しく飲ませりゃいいのさ。」

性格の悪い姉娘は、

「まさか私に泉へ行けと言っているの?」

母親は、それでも娘に行かせました。

娘は出かけたものの、怒っていました。

家で一番立派な銀の水差しを持って行っていました。

娘が泉に着くと、美しい王女が現れて、水を飲ませてほしいと言いました。

実はこの王女は、妹の時に現れた同じ仙女だったのですが、姉の無作法ぶりがどれほどか試すために、この格好で出てきたのです。

性格が悪く、高慢な娘は、

「あんたに水を飲ませるためにここに来たんじゃないよ。

奥方さまに水を差し上げるために、わざわざ銀の水差しを持って来たの!

ほしけりゃ、じかに飲めばいいのよ。」

仙女は、

「あなたはあまり礼儀正しくないようね。」

と、腹も立てずに言い出して、

「こんなに不親切なのだから、贈り物に、

あなたが一言口をきくたびに、口からヘビやヒキガエルが飛び出すようにしましょう。」

母親は娘を見ると、

「さあ、それで?」

「それがね、お母さん。」

姉娘がそう答えた時、まむしとヒキガエルが二匹ずつ口から飛び出しました。

「おお神様!これはどうしたの?きっと妹娘のせいなんだ、こらしめなくちゃ。」

母親は妹娘のところへ行って、叩きました。

あわれな妹娘は逃げ出して、森の中に隠れました。

そこへちょうど、狩りから帰る王子がこの娘に出会いましたが、たいへん美しいので、

なぜ泣いているのか、と尋ねました。

「王子様、私は母親に家を出されてしまったのです。」

その時、娘の口から、真珠とダイヤモンドが飛び出しました。

それを見て、王子はこのわけを聞きました。

娘はこのわけをすっかり話すと、王子は娘が好きになり、

この贈り物は、他のどんな結婚の時の持参金よりも価値があると言いました。

そして、王子と娘は結婚しました。

姉娘のほうは、みんなに嫌われ、自分の母親の家からも追い出されてしまいました。

そしてさんざん駆け回ったあげく、森のかたすみで死にました。

 

仙女の考察

それではここから、この童話の考察に入ります。

まず、母親と姉は似たような性格、顔立ちで、妹は母親に似ておらず、父親に似ていました。

妹が母親に似ていなかった。そして亡くなった父親と似ているという構図から、

記述はありませんでしたが、この母親は妹にとってまま母だと考えられます。

そして、童話ではまま母というのは、いつもまま娘にいじわるをするものです。

シンデレラや、ホレおばさんなどの童話でも、まま母はまま娘にいじわるをしていました。

母親と父親は、両方とも再婚してくっついたと考えられます。

姉が母親側の連れ子、妹が父親側の連れ子だということです。

そして、父親の本当の娘が幸せになり、母親のみにくい娘が不真面目さからひどい目にあうのは、

シンデレラやホレおばさんと同じパターンです。

(シンデレラでは意地悪な姉たちは目玉をほじくりだされ、ホレおばさんではチャン(汚物)まみれになりました)

またこの童話の教訓は、

「優しい言葉は、お金よりも価値がある」

「礼儀正しさや親切心は報われる」

ということです。

仙女に対して、美しい娘は親切にしてあげ、水を飲ませてあげました。

たったそれだけのその行いから、口からダイヤモンドが出てくるようになりました。

つまり、その優しさ、親切心は、ダイヤモンドよりも価値があったことになります。

あと、王子はこの娘を好きになったわけですが、注目したいのは、

この娘が外見も内面も美しかったからでなく、ダイヤモンドを生み出せたからです。

つまり王子は、お金目当てに結婚したことになります。

たしかに、昔の時代は結婚する時に身分を大事にしていましたが、

この王子は、はっきりと「結婚の時のほかのどんな持参金よりも価値がある」と、お金目当てでした。

これだけだと王子が貧乏なのか金持ちなのかは分かりません。

しかし、お金に目がくらんでしまう程度の男と考えられます。

 

仙女の感想

この童話はそんなに長くない童話でしたが、いろいろと考えることはありました。

妹娘は外見も内面も美しい女の子ですが、お金目当ての王子と結婚して幸せになったのかどうか。

お金目当てだったとはいえ、内面が美しい王子だといいですね。

また、しゃべるたびに口からダイヤモンドや花が出るって、かなりすごい設定ですよね。

しゃべるだけでダイヤが出てきたら、日常生活でもちょっと困りそうですね。

悪い人にすぐばれて狙われそうですし。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

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