童話「三つの願い」のあらすじと考察~くだらない願いになった!?

こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

ここでは、イギリス民話より、「三つの願い」あらすじと考察、感想までお話しています。

 

三つの願いのあらすじ

むかし昔の大昔、貧しいきこりが住んでいて、毎日森に、木を切りに出かけていました。

ある日のこと、大きな樫の古木を切る予定で、それを切ればいい厚板がたくさん取れるはずでした。

さて木こりは、斧を振り上げると、目の前に妖精が出てきて、

「お願いですからこの木は切らないでください」

と、両手を合わせてしきりに頼んできました。

木こりは当然びっくりしましたが、やっとのことで、

「そうかね、それじゃあお前さんの言う通りにしよう。」

と言いました。

妖精は、

「それは本当によいことをしてくださいました。

感謝のしるしに、どんなことでも、これから願いを三つ、叶えて差し上げましょう。」

と言って、いきなり消えてしまいました。

しかし帰り道は遠く、木こりはこの幸運にぼうっとしてしまい、家に着いた時にはただ休みたく思いました。

ひょっとしたら、あれは妖精のいたずらだったかもしれない。本当のところはわからないなあと思いました。

木こりは暖炉の火の前に座っていると、だんだんお腹が空いてきました。

「おいお前、夕ご飯に食うものはなにかあるか?」

おかみさんに聞くと、

「ありませんよ。晩ご飯まで二時間もあるんだから。」

「なんだ、まったく、今ここに黒ソーセージのつながったやつがあればなぁ。」

木こりがそう言い終わらないうちに、

カタカタ、ガサガサ、これ以上なく上等なひとつながりの黒ソーセージが上から落ちてきました。

木こりもびっくりしましたが、かみさんは三倍もびっくりして、

「何なのよ、これは?」

すると木こりは、今日あったことを、初めから終わりまで、女房に話て聞かせました。

ところが、かみさんはだんだん渋い顔になり、こうガミガミ言いました。

「あんたって人はバカだね、ジャン、大バカだよ。

いっそソーセージが鼻にくっついてしまえばいいんだよ。」

そのとたん、ソーセージがぶら下がったおかげで、木こりの鼻はうんと長くなってしまいました。

木こりが引っ張っても、かみさんが引っ張っても、くっついて離れません。

二人で力を合わせ、鼻がもぎとれそうになるくらい引っ張りましたが、どうしても取れません。

「どうしたらいいだろう?」

「それほどみっともなくもないわ。」

かみさんは、木こりを見ながらそう言いました。

木こりは、願い事をするなら今だと思い、このソーセージが鼻から取れますようにと願いました。

すると、ソーセージはポロリとテーブルの皿の上に落ちました。

木こり夫婦は黄金の馬車には乗れなかったし、絹やサテンの服は着られませんでした。

しかし、これ以上ないほどうまい黒ソーセージを食べることができました。

 

三つの願いの考察

それではここから、この童話の考察に入ります。

この童話からは、「発言に対して責任を取れ」という教訓が読み取れます。

妖精のお願いを聞いてあげたら、木こりは3つの願いを叶えてくれました。

しかし、その願いは3つとも、くだらないことに使ってしまいました。

これは、うっかり余計なことを口にしてしまったからですが、発言に対して責任を取らされた形になります。

ちゃんと考えてから願いを口に出せば、3つもあったのですから、お金持ちになることも可能でした。

ところが、変なことを口にしてしまったがために、それは水の泡と消えました。

現代社会でも、ちょっとした発言が不利益を招くことは多いですよね。

例えば、会社の責任者が変なことを言ったがために、その会社の売り上げが大きく下がってしまったり。

ところが変な発言の尻拭いをさせられるのは、現場の従業員だったりします。

売り上げが下がったことによりボーナスがカットされたり、リストラになったり。

そして、肝心の不用意な発言をした責任者は、ダメージを受けない。

この童話では、余計なことを口にした本人が、その尻拭いをすることになりましたが、

本来あるべき姿はこの童話です。

それからかみさんは、木こりの鼻にソーセージがくっついて、取れないのを見て、

「それほどみっともなくもないわ。」

というセリフがありました。

このセリフからは、完全に人ごとだ、というかみさんの心理がうかがえます。

そして、この時点で2つの願いを使ってしまったので、もう一つの願いはお金持ちになりたい、などに使いたく、

「このソーセージを鼻から取る」ということに願いを使いたくないという気持ちがうかがえます。

やっぱりお金がからむと、人の本性が出るということが読み取れます。

 

三つの願いの感想

この童話は、完全に笑い話でした。

せっかく妖精が願いを叶えさせてくれたのに、三つとも下らないことに使ってしまったのですから。

ただ、この童話の最期に、「最高のソーセージが晩ご飯のおかずになった」とあったので、

それだけでも幸せを感じろっていうことかもなって思いました。

三つ、何でも願いを叶えてくれるってなったら、普通の人はどんなことを願うのか、気になるところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

さて、ここではマッチ売りの少女などの童話がモチーフになっている、かわいくてメルヘンチックな音楽を6曲プレゼントしています。

ブログ主が創った、童話の物語が歌詞になって展開していく、美しい声の女性ボーカルとファンタジーなメロディーが特徴の音楽です。

この童話の音楽6曲を無料で受け取るは、こちらをご覧ください。

というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!

<関連記事>

童話「おやゆび姫」のあらすじと考察~最後に出てくるマーヤって誰?

童話「ナイチンゲール」のあらすじと考察~本物VS偽物の闘いは・・・

童話「野ばら姫(眠り姫)」のあらすじと考察~聖なる女はどんな呪いをかけたか

童話「羊飼いの娘と煙突掃除屋さん」のあらすじと考察~頑固おやじを黙らせた意外な方法

童話「ジャックと豆の木」のあらすじと考察~ジャックは悪者なのか!?

童話「野の白鳥」のあらすじと考察~童話にしては試練が辛すぎじゃないか?

童話「雪白と薔薇紅」のあらすじと考察~恩知らずな奴の末路

童話「狐と馬」のあらすじと考察~生き残るために必要なものは

童話「黄金の鳥」のあらすじと考察~世話が焼けるやつだなぁ

童話「マリアの子ども」のあらすじと考察~罪を認めない者には容赦ない~

※童話一覧へ